2000年4月
  
 
THE WATERBOY
4/20 ウォーターボーイ

 
●監督:フランク・コラチ ●脚本:ティム・ハーリヒー/アダム・サンドラー 
●製作:ロバート・シモンズ/ジャック・ジャラプト  
●撮影:スティーヴン・バーンスタイン ●音楽:アラン・パスクァ 
●出演:アダム・サンドラー/キャシー・ベイツ/フェルザ・バルク/ジェリー・リード 
  ヘンリー・ウィンクラー 
1998年アメリカ作品 

 「ウェディング・シンガー」で爽やかな青春像を見せてくれたアダム・サンドラーが再び同じ顔ぶれのスタッフと組んで、今度はおまぬけコメディに挑戦である。 
 「ウェディング・シンガー」のシャイな二枚目からうって変わって過保護でマザコンの30男をまぬけずらで演じて快調だ。 
 キャシー・ベイツ演じる強いママに純粋培養された彼は大学のフットボールチームの給水係を務めており、おいしい水をつくってチームに貢献するのが自分の天職だと考えている。 
 そんな彼の縁の下の力持ち的な懸命な努力もチーム内ではいっこうに認めてもらえず、むしろ選手たちからはイジメの対象にされる始末だ。 
 さらには役立たずの烙印を押されてチームからもお払い箱にされてしまうという踏んだり蹴ったりの目に遭うが、連戦連敗の弱小チームに拾われたことから彼の隠された才能が発見されることになる。 
 そしてその才能を選手として発揮することで弱小チームがあっという間に優勝を争う有力チームに変身してしまうのである。 
 突然現れた救世主によって弱小チームがほんとうに優勝することができるのだろうか、といった展開がエキサイティングに描かれていく。 
 みんなからバカにされる落ちこぼれ人間が意外な才能によってその立場を一気に逆転してしまうというストーリーはよくある話ではあるが、こうした話にはいつも胸を熱くさせられる。 

 
 
 DEAD OR ALIVE
4/25 DEAD OR ALIVE 犯罪者

●監督:三池崇史 ●脚本:龍一朗 ●製作:黒澤満/土川勉  
●撮影:山本英夫 ●音楽:遠藤浩二 
●出演:哀川翔/竹内力/小沢仁志/山口祥行/やべきょうすけ/柏谷享助 
 寺島進/杉田かおる/倉沢桃子/ダンカン/石橋蓮司/平泉成/本田博太郎 
 鶴見辰吾/山口祥行/塩田時敏 
 
1999年大映/東映ビデオ作品 

 なんとも破天荒なアクション映画だ。 
 三池崇史監督のとにかく表現したいことは躊躇なくなんでも表現してしまおうとするエネルギーが強烈に伝わってくる。 
 ともすれば冗舌になりすぎて、破綻寸前といったところも目につくのだが、そんなことにはおかまいなしに次々とパンチを繰り出してくるしつこさの前に、いつしか彼のペースに乗せられてしまう。 
 誤解を恐れずに云えば、これはもう監督のやりたい放題なのである。 
 しかしそれがけっして嫌みではなく、けっこうはまってしまうという世界である。 
 とくに冒頭の欲望渦巻く裏社会をカットバックでスピーディーに描きあげるところや、アクション場面には独特の感性が感じられる。 
 こうした描き方はこれまで観てきた彼の作品「ブルース・ハープ」や「日本黒社会」でもたびたび目にしてきたところだが、ここでのそれはその集大成といった様相を見せている。 
 さらに哀川翔、竹内力というVシネマの2大ヒーローを激突させるという試みもVシネマファンにとってはこたえられないところであろう。 
 そしてその対決もけっしてファンの期待を裏切らない。 
 というよりも、このふたりの対決をここまでやってくれるのかというほどである。 
 もうこれには完全に度肝を抜かれてしまうのだ。 
 よくぞここまでと素直にうなってしまうである。 
 B級テイストないかがわしさが好きなファンにはたまらない1本であろう。

 
 
BUFFALO'66
4/28 バッファロー’66

●監督・脚本・音楽:ビンセント・ギャロ ●脚本:アリソン・バグナル  
●撮影:ランス・アコード ●製作:クリス・ハンレー 
●出演:ヴィンセント・ギャロ/クリスティーナ・リッチ/アンジェリカ・ヒューストン 
 ベン・ギャザラ/ロザンナ・アークエット/ミッキー・ローク 
 ジャン=マイケル・ヴィンセント/ケビン・コリーガン 
 
1998年アメリカ作品 

 ヴィンセント・ギャロ、おそらくここしばらくの間はこの名前が頭から離れることはないだろう。 
 それほど強烈な印象をこの映画から受けた。 
 彼のフィルモグラフィーを調べてみると、エミール・クストリッツア監督の「アリゾナ・ドリーム」にも出演しているそうだが、残念ながらこの映画での彼はあまり印象には残っていない。 
 というよりも出演していることすら憶えていないのだ。 
 こんな個性的な風貌なのに不思議といえば不思議な話だ。 
 ということはこの映画で彼を初めて知ったということに等しいわけだ。 
 そしてたちまち彼の魅力の虜になってしまったのである。 
 もちろん俳優としての彼の存在感も素晴らしいのだが、なによりも監督、脚本、音楽までもこなして作り上げたこの初監督作のセンスの素晴らしさにもうぞっこんまいってしまったのである。 
 他人の罪の身代わりに5年の刑期を終えて出所してきた青年ビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)が、電話で両親に今は恋女房と幸せに暮らしていると口走ったばかりに通りがかりの女性レイラ(クリスティーナ・リッチ)を誘拐して即席の恋女房に仕立て上げ、両親に会いに行くという行き当たりばったりな男の物語が実に情感あふれた映画に仕上がっているのである。 
 こうした情感というものは、そう簡単には出せるものではない。 
 おそらくギャロ自身の経験をベースに長年暖め続けてきた結実がこの作品ということになるのであろう。 
 そしてそれを咀嚼する明確な方法を彼自身が的確に身につけていることの証でもあろうと思う。 
 それは例えば彼と両親とレイラの4人で食卓を囲んで会話をするシーンの撮影法などに端的に見ることができる。 
 そしてこの映画文法を無視した撮り方に彼の強いこだわりと主張を窺うことができるのだ。 
 本来ならば、ひとりの身体の一部をフレームに入れながら他の人間たちをとらえるところを、そうしたセオリーを無視してあたかもテーブルには3人だけしか存在していないかのようなショットで3人をとらえるのである。 
 映画文法からすればこれは明らかに間違ったショットなのであるが、ヴィンセント・ギャロはあえてそうした方法で彼らをとらえる。 
 だがその奇妙なショットが両親と彼らの間に存在する遠い隔たりを感じさせる効果を果たしているのである。 
 かみ合わない会話、触れ合うことのない心、それぞれがバラバラに存在していることをこの映像が見事に象徴しているのだ。 
 さらには父親を演じるベン・ギャザラがレイラの前で突然シナトラばりのステージを再現するかのように歌い出したり、ちょっと小太りのクリスティーナ・リッチがボーリング場のレーンの上で、その太い脚を不器用に動かして突然タップ・ダンスを踊ったりするシーンの演出にも、そうしたこだわりを見ることができる。 
 コーエン兄弟の「ビッグ・リボウスキ」ともまた違ったキッチュさを感じさせて、心地いい。 
 またここではヴィンセント・ギャロが見事なボーリング・プレーも見せてくれるのである。(ボーリングというちょっと俗悪な要素をもったスポーツを登場させるセンスもGOOD。ちなみにこの作品や「キングピン・ストライクへの道」「ビッグ・リボウスキ」といったボーリングが登場する映画は不思議とどれもちょっとひねったいい映画が多い。) 
 こうしたディテールのひとつひとつが見事に計算されており、またそれがすべてこの映画の重要なコンセプトを形作っているのである。 
  
 両親の愛に飢え、心と体がアンバランスなまま大人になってしまった孤独な青年の魂の彷徨が痛々しいほど伝わってくる。 
 心が弱く、愛を求める気持ちが人一倍強いだけにかえって人との接触が下手くそで、突っ慳貪な態度しかとれないビリー・ブラウンの姿に自分の姿を重ねてみる人も少なくないのではなかろうか。 
 そんな孤独で不器用なビリー・ブラウンが行きづりの女性レイラによって次第に癒されていく様子には心底泣かされてしまう。 
 この映画にはビンセント・ギャロの悲痛な叫びや切実な願望が深くこめられていることがよく分かる。 
 その思いが実に気持ちよくこちらの胸に沁みてくる。 
 そしてそこからいかつい外見の印象とは異なったビンセント・ギャロの深い優しさが伝わってくる。 
 久しぶりに手放しで称賛したくなる映画と出会った思いだ。

 
 
KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR
4/30 ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

 
●監督・脚本:トーマス・ヤーン  ●脚本:ティル・シュヴァイガー 
●製作:ティル・シュヴァイガー ●装置・衣裳:モニカ・バウアート  
●撮影:ゲーロ・シュテフェン ●音楽:ゼーリッヒ 
●出演:ティル・シュヴァイガー/ヤン・ヨーゼフ・リーファース 
  ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ/ルトガー・ハウアー 
  モーリッツ・ブライプトロイ 
1997年ドイツ作品 

 「バンディッツ」「ラン・ローラ・ラン」そして本作といったぐあいに、最近のドイツ映画には注目作が多く、元気がいい。 
 これを称してポスト・ニュージャーマン・シネマと呼ぶそうだが、ドイツ映画にも世代交代の時代がやってきて、新しい才能が登場し始めたということなのであろう。 
 この映画もそんな新しい才能が作りだした1本である。

 
 
 
 
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