2001年日本作品
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監督/脚本: 熊切和嘉 脚本:
穐月彦
製作: 矢内廣/ 赤城聡/ 川島晴男
プロデューサー: 森本英利/ 天野真弓/
中村和樹
撮影: 橋本清明 美術: 西村徹
音楽: 赤犬/ 松本章
録音: 吉田憲義 照明: 大坂章夫
出演: 寺島進/ 菊地百合子/ 澤田俊輔
権藤俊輔/ 外波山文明 |
北海道のとある町のドライブインの料理人、市夫と、旅の途中、恋人に捨てられた少女、妙子の出会いと別れを描いた物語。
まずドライブインの「空の穴」という名前がいっぷう変わっている。
またそこのオーナーである市夫の父親の浮き世離れしたとらえ所のなさも風変わり。
そして寡黙で苦虫を噛みつぶしたような表情の市夫自身もかなりの変わり者に見える。
さらにドライブインに転がり込んでくる少女、妙子はそれを上回る変わり者である。
まさに名前の「妙子」そのままに妙な子である。
まるで野良犬が住み着くような自然さで市夫と同居を始めてしまう。
そんなとらえ所のないふたりの日常が北海道の雄大な風景のなか、ゆったりとした語り口で描かれる。
特別なことはなにも起こらない。
それなのにしだいに強くひきつけられていく。
こんな生活がずっと変わらず、永遠に続けばいいという気にさせられる。
リアルであるにもかかわらず妙に生活感のない彼らのキャラクターがとても愛しく思えてくる。
それは白い雲がゆったりと流れる北海道の空をいつまでも飽きずに眺める感覚と似ているのかもしれない。
少しづつ形を変え、気づいたときには雲は跡形もなく消えてしまっている。
そんな空を柔らかな陽の光を浴びながら眺めているような気分にさせられる映画である。
( 2003/02/19 )
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