1964年日活作品
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監督: 吉村廉 企画: 水の江滝子/
林本博佳
脚本: 宮内婦貴子 撮影:
姫田真佐久
美術: 大鶴泰弘 音楽: 伊部晴美
出演: 浜田光夫/ 西尾三枝子/ 三田明
市川好郎/松尾嘉代/ 久里千春/
宇野重吉 |
アイドル歌手、三田明のデビュー曲「美しい十代」を映画化した歌謡映画である。
主役は西尾三枝子と浜田光夫、西尾三枝子演じるミカは食品ストアに住み込みで働く女店員、いっぽう浜田光夫演じる純はやくざの幹部を夢見るチンピラやくざ。
ミカはひとりで健気に生きており将来のことを考えて夜学に通おうと考えている。
いっぽう純はいまだ正式な組員にはなれない半端者で、組の幹部の使い走りを体よくやらされているケチなチンピラである。
そんな対照的なふたりふたりがふとしたきっかけで知り合い、どちらも幼くして親を亡くしたみなしごという似た境遇からお互いにひかれ合う。
そしていくつかの障害を乗り越えるなかでほんとうの愛に気づいてゆくといったストーリーである。
よくある純愛ものだがこれを見ているうちに西尾三枝子演じるミカの姿がふと「キューポラのある街」の少女ジュンの姿にダブって見えてきた。
それはどちらも貧しく恵まれない境遇のなかにありながらも懸命に自分の道を模索しようとする少女であり、その健気さがダブって見えたからである。
こうしたストーリーは当時の日活お得意のものではあるが、いっぽうで「キューポラのある街」のヒットにあやかろうとする意図があったようにも思われる。
それは第2、第3の吉永小百合を生み出したいと考える日活の方針に従った結果作られたものに違いない。
そんな候補者のひとりとして西尾三枝子という女優の存在があったのだろう。
結局それは花開かずに終わったものの、この映画での西尾三枝子は実に魅力的で可愛い。
「キューポラのある街」の少女ジュンにも負けず劣らずその存在は光って見える。
そしてその健気さに心から応援を送りたくなってくるのである。
高度成長まっただなか、彼女が演じたこのような少年少女たちは大勢いたことだろう。
そしてそうした少年少女たちはこういった映画を見ることで大いに力づけられていたにちがいないのだ。
こういう映画に出会うとなんだか懐かしい旧友に巡り会えたようなうれしい気分になってしまう。
2002/11/07
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