1997年アメリカ作品
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監督:ポール・ウェイランド 脚本:ソウル・タートルトーブ
製作:ポール・トリビッツ/アリソン・オーウェン/ダリオ・ポローニ
撮影:ヘンリー・ブラハム 音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:ジャン・レノ/マーセデス・ルール/ポリー・ウォーカー
マーク・フランケル/ルイジ・ディベルティ/ロベルト・デラ・カーサ
ジュゼッペ・セデルナ/レナート・スカルパ |
イタリアを舞台にしたイタリア映画と思いきや実はアメリカ映画、しかも会話は英語で、主演はフランスの俳優ジャン・レノ、お相手はアメリカの女優マーセデス・ルール、そして監督はイギリス人のポール・ウェイランドと、とても統一のとれそうもない要素を見境なくつめこんだごった煮感覚の映画だ。
それでいて映画はなかなか面白い。
ストーリーは「死」をテーマに展開する。
イタリアの田舎町に住むマルチェロ(ジャン・レノ)の妻ロザンナは死の病を患って余命いくばくもない。
彼女の最後の望みは、幼くして亡くなった娘の墓の隣で眠りにつくこと。
だが、墓地にはあと三つしか空きがない。
そこでマルチェロは愛する妻の望みをかなえるために涙ぐましい努力を始める。
それはこれ以上墓に入る村人を一人たりとも出さないという方法で、そのために死にそうな人がいればせっせと見舞いに訪れ、必要とあれば献血もする。
さらには交通事故で死者が出ないようにと自ら交通整理まで買って出る始末だ。
このあたりの彼の奮闘ぶりはいささか常軌を逸しており、コミカルさを狙ったのだろうが、あまり成功しているとは思えない。
というよりもそうした猪突猛進ぶりにいささか辟易してしまう。
そしてそんな奮闘ぶりがある事件に巻き込まれることによってさらにヒートアップしたものになっていく。
ここでマルチェロの願いも空しく新たな死人が登場することになり、それを隠そうと死体を冷凍したり、処理に困って他人の車のトランクに詰めたりとかなりブラックな展開になっていく。
だがここまでやられるといつの間にか当初感じた辟易さも薄れてしまいマルチェロのキャラクターが実に可愛いものに感じられてくるから不思議だ。
そしてそれが妻ロザンナの「マルチェロとの生活には魂や歓びや安らぎがあふれている」というセリフを聞かされることでおおいに納得してしまう。
結局この映画は「死」を扱いながらも生きる歓びや安らぎとはどういうことなのかということを描き、そして人生を讃歌しているのである。
そういったことを考えるとこれはまぎれもなくイタリア的陽気さ、楽天主義に裏打ちされたものであり、やはりこういった話はイタリアを舞台にしないと成立しえない物語なのだと納得したようなわけである。
2002/02/14
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