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●監督・製作・脚本:スティーブン・スピルバーグ
●原案:スタンリー・キューブリック ●原作:ブライアン・オールディス ●脚本:イアン・ワトソン ●製作総指揮:ヤン・ハーラン/ウォルター・F・パークス ●製作:ボニー・カーティス/キャスリーン・ケネディ ●撮影:ヤヌス・カミンスキー ●音楽:ジョン・ウィリアムズ ●出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント/ジュード・ロウ/フランシス・オコーナー サム・ロバーズ/ブレンダン・グリーソン/ジェイク・トーマス/ウィリアム・ハート ●声の出演:ベン・キングズレー/ロビン・ウィリアムズ/メリル・ストリープ |
ほとんど内容を知ることのできない予告編を繰り返し見せることで観客の期待感を煽るという宣伝効果が功を奏したのか、映画館は大勢の客で埋まっていた。
興行的にはかなりの数字を予感させる風景ではあるが、内容的にはいささか期待を裏切るものといわざるをえない。 生前のスタンリー・キューブリックが映画化を構想していたということだが、果たして彼が映画化していたらどんな映画になっていたのか、興味をそそられるところだ。 だがこれは完全にスピルバーグの世界で、ベースは「ピノキオ物語」、さらには「母を訪ねて三千里」なのである。 スピルバーグの母恋物語、それに大がかりなSFXを駆使した近未来の装いを施して新しい物語として見せてくれると云う仕掛けである。 さすがにSFXは手が込んでおり、それなりに楽しめるものではあるが、こちらの眼もたいていのSFXには驚かなくなっているせいか、あまり印象には残らない。 またストーリーのほうも同様で、心にひっかかるものが少ない。 予告編で煽られはしたが、蓋を開けてみると結局それほど見るべきものがなかったということだ。 ただハーレイ・ジョエル・オスメントが「シックス・センス」「ペイ・フォワード」に続いてやはりここでも大人顔負けの演技を見せており、その健気な演技だけが強く印象に残った。 2001/07/11
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●監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
●製作総指揮:ペーター・オール/ベック・ヤンセン ●製作:ヴィベケ・ウィンデロフ ●美術:カール・ユリウスン ●撮影:ロビー・ミューラー ●音楽:ビョーク ●出演:ビョーク/カトリーヌ・ドヌーヴ/デヴィッド・モース/ピーター・ストーメア ジャン=マルク・バール/ウド・キア/ステラン・スカルスガルド 2000年デンマーク作品
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重く切なく割り切れない思いがいつまでも残る。
それと同時にビョークが歌う美しい歌声がいつまでも心の中でくりかえし響いている。 人はさまざまな方法で現実の苦しみを忘れようとする。 酒で紛らわせることで、汗を流すことで、さらには好きなことに打ち込むことでと、いろんな方法で現実の辛さを忘れようとするものだ。 ビョーク演ずるセルマは大好きなミュージカルを夢想することでそれを果たそうとする。 彼女はチェコからアメリカへの移住者であり、またシングル・マザーであり、工場で健気に働きながら幼い息子の面倒をみている。 さらに彼女は遺伝性の弱視のために眼が不自由である。 そしてその眼も近々失明してしまう運命にある。 そのことを彼女は誰にも打ち明けずにいる。 また息子を自分と同じにはさせたくないとの考えから眼の手術を受けさせようと秘かに計画している。 そのために眼の不自由さをごまかしては夜勤や内職に精を出し、せっせと手術代を稼いでいるのである。 そんな危なっかしい彼女を何くれとなく支えているのがともに工場で働くキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)や大家のビル(デビッド・モース)そして彼女を愛するボーイフレンドのジェフ(ピーター・ストーメア)である。 どんな境遇にあっても、やはり袖擦り合うも多少の縁の喩え通り人情を分かち合う人というのはいるものだが、実際セルマを側で見ていると手を貸さずにはおけないものがあるのだ。 映画の中でも何度プレス機に手を挟まれて大けがを負うのではと心配させられてしまうほどである。 そんなセルマの唯一の楽しみがミュージカルである。 辛いとき楽しいとき、何かにつけて彼女はミュージカルを夢想する。 眼の不自由な彼女は音にはとくに敏感で、工場の機械の音、帰宅途中耳にする列車の音などに反応し、その反復するリズムに合わせるようにミュージカルの世界が現われる。 その楽しく美しい世界を夢想することで彼女の疲れた心は癒される。 そしてその落差を表すように現実世界はまるでアマチュアカメラマンが撮ったかと思わせるような手持ちカメラによるドキュメンタリー・タッチの映像で荒々しく表現され、ミュージカル場面はプロのカメラマンが撮ったような揺るぎのないきっちりとした映像で表現されており、ここにラース・フォン・トリアー監督のしたたかな計算を読みとることが出来るのだ。 最初は神経を逆撫でされるように感じた手持ちカメラの映像も、こうした映像の繰り返しのうちに次第に気にならなくなるばかりか、ひじょうに力強いリズムを感じるようになってくる。 まさに監督の術中には見事にまってしまったのである。 あとは強引なほどぐいぐいと監督独自の世界に引っ張りこまれていくだけである。 前作「奇跡の海」同様の犠牲的な愛の世界、無垢なるがゆえの愚かな愛の世界の物語がくり広げられていく。 さらに強烈に、さらに深く。 そして無垢なるがゆえにこそ世界の矛盾がそこに集中的に現れてしまうという悲劇がここでも繰り返し描かれるのである。 恐れと怯えの末にセルマの口から放たれる歌声はまさに絶唱というのにふさわしい。 その振り絞るような悲痛な歌声がいつまでも耳について離れない。 強烈なボディーブロー、いやカウンターパンチを浴びせられたような心境である。 2001/07/11
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●監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ ●原作:エリッヒ・ケストナー
●脚本:デビッド・スウィフト ●製作・脚本:チャールズ・シャイヤー ●編集:スティーブン・A・ロッター ●衣装:ペニー・ローズ ●撮影:ディーン・カンディ ●音楽:アラン・シルヴェストリ ●美術:ディーン・タブラリス ●出演:リンゼイ・ローハン/デニス・クエイド/ナターシャ・リチャードソン エレイン・ヘンドリックス/サイモン・クンツ/リサ・アン・ウォルター 1998年アメリカ作品
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ドイツの児童文学「ふたりのロッテ」を1961年に「罠にかかったパパとママ」の題名でディズニーが映画化、それをさらにリメイクしたのがこの「ファミリーゲーム」である。
前回はイギリスの名子役ヘイリー・ミルズが主役を演じて評判を呼んだが、今回は2000人の少女のなかから選ばれたリンゼイ・ローハンが主役を演じて、そのキュートな魅力を振りまいている。 出生後すぐに両親が離婚、生き別れになっていた双子の姉妹がサマーキャンプで偶然再会、だがともに双子の姉妹がいることを知らされていないふたりはお互いが姉妹であるということがわからない。 そして似たもの同士のライバル意識むきだしで反撥、何かにつけて争い合う。 とろがイタズラが過ぎてトラブルを起こし、その責任をとらされたふたりが他のメンバーから引き離され、いっしょに過ごすことで次第に親しくなっていく。 そしてお互いの生い立ちと生活を知るなかでふたりが双子の姉妹だということに気づくことになる。 そうした導入部がテンポよく紹介されていくなかで、リンゼイ・ローハンのおしゃまな可愛らしさに自然と目が惹きつけられてしまう。 そしてその可愛らしさに引きずられながら、ふたりが姉妹だと気づくくだりでは思わず涙ぐんでしまうことになる。 ディズニー映画らしい健康でソツのない見せ方。なかなか快調な演出である。 後半は双子であることに気づいたふたりが入れ替わり、両親をもとの鞘に戻そうとあれこれ奮闘するドラマがカリフォルニアとロンドンを舞台に繰り広げられることになる。 そしてこの企みをそれぞれの家庭の執事とメイド、そして愛犬と優しい祖父が手助けするのもいかにもディズニー映画らしい設定。 とにかく楽しく爽やかで後味のいい映画であった。 2001/07/09
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●監督・脚本:メル・ブルックス
●製作:シドニー・グレイジャー ●撮影:ジョーゼフ・コフィー ●音楽:ジョン・モリス ●美術:チャールズ・ローゼン ●出演:ゼロ・モステル/ジーン・ワイルダー/ケネス・マース デイック・ショウン/リー・メレディス/クリストファー・ヒューイット 1968年アメリカ作品
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●監督・脚本:ジョイス・シャルマン・ブニュエル ●脚本:ジャン・クロード・カリエール
●製作:アイッサ・ジャブリ/ファリド・ラウアサ/マニュエル・ムンツ ●撮影:ハビエル・アグィレサローベ ●音楽:シエラ・マエストラ / ジャン・マリー・セニア ●出演:バンサン・ルクール/クリスティアンヌ・グウ/カトリーヌ・サミー ミシェル・オーモン/ロラン・ブランシュ/アレクシ・バルデス/エリザ・マイヨ 2000年フランス/スペイン作品
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ヴィム・ヴェンダース監督の音楽ドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』が火をつけたラテン音楽ブーム、その流れにのって現れたその名もズバリ「サルサ」という題名の映画。
サルサとはニューヨークを中心にキューバ系の人々が自分たちの音楽にジャズ、ソウル、ロックをミックスして生み出した音楽のことである。 その陽気で情熱的な音楽とそれに合わせて踊る官能的なダンスがこの映画の売りである。 主人公を演じるのはこれが映画初出演のヴァンサン・ルクール、そしてお相手がメキシコ人女優クリスティアンヌ・グゥ、どちらもこの映画にふさわしくセクシーで美しい。 そんなふたりが歌と踊りを通して恋に落ちる。 そしてふたりの恋に若き日の悲恋を数十年ぶりに実らせようとする老人の恋をからませることで人生の滋味を浮かび上がらせようとする。 こんなふうにポジティブに生きるのがラテンのエネルギーなのだと教えてくれる映画だ。 2001/07/21
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