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●監督・脚本:マイケ・ファン・ディム ●製作・脚本:ローレンス・ヘールス
●原作:F.ポルデバイク ●脚本:ルット・ファン・メーヘン ●撮影:ロヒール・ストッフェルス ●美術:ユリール&スハーフ ●音楽:ブン宮殿楽団 ●衣装:ヤニー・テミム ●出演:ヤン・デクレール/フェジャ・ファン・フェット/ベティ・スヒュールマン タマル・ファン・デン・ドップ/ビクトー・ロウ/ハンス・ケスティング 1996年オランダ作品
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1920年代のオランダ、ロッテルダムの暗く沈んだ街を舞台に親子の絆を描いた作品である。
物語は冷酷無比な税務執行官として知られる怪人物ドレイブルハーブンの死体が発見されたことから始まる。 容疑者として逮捕されたのはドレイブルハーブンと最後に会っていたという弁護士のヤコブ=ヴィレム・カタドルフであった。 実はヤコブはドレイブルハーブンの私生児であり、彼の回想によってふたりの長年にわたる確執の物語が語られていく。 ヤコブの母ヨバはドレイブルハーブンのもとメイドで、ともに無口で偏屈なふたりであったが、ある夜ヨバはドレイブルハーブンから強引に関係を迫られる。 その結果生まれたのがヤコブであった。 彼女はドレイブルハーブンからの執拗な結婚の申し込みを断り続け、結局母と子ふたりだけの生活を選ぶのである。 彼女もドレイブルハーブンに負けない強烈な個性の持ち主で、女性がひとりで生きるのが難しいこの時代にあっても毅然と自分の生き方を貫いていく。 ヤコブは私生児として子供時代から早々と世間の冷たい風に曝されながら成長していく。 まともな教育を受けることのできなかったヤコブだが、引っ越し先で見つけた"T" の項目までしかない百科辞典を読むことで、いつのまにか教養を身につけるようになっていく。 そして次第に母親ともうまくやっていけなくなってきた彼は国民信用銀行から多額の借金をすると家を出て、たばこ屋を開業することになる。 だがこの商売も結局はうまくいかず、借金だけが残ってしまうのだ。 そしてこの国民信用銀行が実は税務執行官ドレイブルハーブンの裏稼業であったことからふたりの複雑な関係が生まれることになる。 お互いが父と子であるということが分かっていながらも、ドレイブルハーブンは執拗にヤコブの前に立ちふさがってはなにかと彼の人生の邪魔をする。 そしてヤコブはそれに負けまいとすることで一歩一歩人生の階段を登っていくのだが、同時にドレイブルハーブンへの不思議な共感を感じ、また一方では殺意も抱くようになっていく。 素直な愛情表現が出来ず、相手を痛めつけることでしか愛情を表すことのできない歪な性格の持ち主ドレイブルハーブン。 痛めつけることでヤコブが成長していくことに「協力している」とうそぶくドレイブルハーブン。 彼の怪人物ぶりが異彩を放っている。 法の名のもとにいっさいの妥協を排し、人情のかけらもなく法を執行していくその姿には鬼気迫るものがある。 まさに彼は彼なりに自分の仕事に命を懸けているのである。 そんな様子を窺わせるエピソードがいくつか描かれることでこの人物の複雑に屈折する内面をそれとなく見せて、人物造型に深みをもたせている。 その圧倒的な存在感を軸に物語が回っていく。 1920年代のロッテルダムを再現したロケが素晴らしい。 そしてさらにそれらを捉える深く陰影を帯びた映像が物語に神話的な奥行きを与えて見事である。 アカデミー賞の外国映画賞受賞が頷ける重厚な作品である。 |
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●監督・脚本:ジュリアン・テンプル ●原作:クリス・ワード
●脚本:ピーター・エッテドグィ/アン・デヴリン ●製作総指揮:キキ三宅 ●製作:アマンダ・テンプル/ジェレミー・ボルト ●撮影:ジョン・マシソン ●美術:カロリーヌ・グレヴィル・モリス ●音楽:ビンヘン・メンディサバル ●出演:ジェイムズ・フレイン/ロマーヌ・ボーランジェ/ジム・カーター ダイアナ・クイック/ウィリアム・スコット=マッソン/ニコラス・ヒュイットソン 1998年イギリス/フランス作品
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アナーキストの父親が獄中で謎の死を遂げ、自身もわずか4本の映画を残しただけで夭折したという伝説の映画監督ジャン・ヴィゴ。
その生涯を最愛の妻リデュとの出会いから死に至るまでのドラマとして描く。 肺結核の治療のためにサナトリウムに入ったジャン・ヴィゴは、そこで運命の女性リデュと出会い激しく愛しあう。 そして周囲の危惧、反対を無視して結婚、やがて映画を撮るようになる。 だが父親がアナーキストだったということが災いして観客の強い拒否反応にあってしまう。 しかし彼の映画への情熱は逆にますます強まるばかりであった。 そんな彼の才能を愛する友人たちが映画つくりために奔走、新しいスポンサーを見つけだしてくる。 こうして撮影されたのが彼の代表作「操行ゼロ」や「アタラント号」であった。 時代のはるか先を行く天才の常としてジャン・ヴィゴも無理解と批判の渦のなかでの映画づくりを余儀なくされる。 そして病が悪化するなか、ようやくにして撮りあげた「アタラント号」も彼の意図通りには上映されず、大幅な改変を迫られることになる。 こんな報われることのなかった生涯の唯一の支えがリデュの愛であった。 そしてその愛情生活が父親の死の疑惑、それに関わる母親との確執、さらには友人たちとの友情をからめながら描かれていく。 この映画を観ながら同じくフランスの夭折の画家モディリアニを描いた映画「モンパルナスの灯」を思い出していた。 貧しさの中、ともに不遇なままで死んでいったモディリアニとジャン・ヴィゴというふたりの天才の生涯が重なり合って見えてきた。 |
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●監督:シドニー・ルメット ●脚本:スティーヴ・アンティン
●製作:ゲイリー・フォスター/リー・リッチ ●撮影:デヴィッド・ワトキン ●音楽:ハワード・ショア ●出演:シャロン・ストーン/ジェレミー・ノーサム/ジーン・ルーク・フィゲロア キャシー・モリアーティ/マイク・スター/ジョージ・C・スコット 1999年アメリカ作品
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1980年に製作されたジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演の『グロリア』を、シャロン・ストーン主演、シドニー・ルメット監督でリメイクした作品である。
オリジナルはジョン・カサベテスの代表作であり、人生の黄昏時を迎えた主人公をジーナ・ローランズが哀愁をこめて演じているのが印象深かったが、このリメイク版では主人公をもっと若く設定し、シャロン・ストーンがギャングの情婦らしいセクシーさを強調して演じている。 そうした彼女の意気込みは買うものの、映画としての出来はオリジナル版には遠く及ばない。 舞台を現代のニューヨークに移し、なんとか新味を出そうとする工夫の跡は見られるものの凡作の域は出ない。 名作のリメイクの難しさをあらためて云々するまでもなく、娯楽作としてもいまひとつパワー不足である。 それにしてもシャロン・ストーンは「悪魔のような女」「グロリア」とここのところリメイク映画への出演が多い。 |
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●監督:ジョン・マクティアナン ●脚本:レスリー・ディクソン/カート・ウィマー
●製作総指揮:マイケル・タドロス ●製作:ピアース・ブロスナン/ボー・セント・クレア ●撮影:トム・プリーストリー ●視覚効果:ジョン・サリバン ●美術ブルーノ・ルベオ ●音楽:ビル・コンティ ●出演:ピアース・ブロスナン/レネ・ルッソ/デニス・レアリー フェイ・ダナウェイ/エスター・カニャーダス 1999年アメリカ作品
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「グロリア」同様、またしてもリメーク作品である。
こちらは1968年にスティーブ・マックィーンとフェイ・ダナウェイ主演で作られた「華麗なる賭け」の再映画化である。 これをそれぞれにピアース・ブロスナンとレネ・ルッソが演じている。 監督は「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン。 彼がこの犯罪ラブストーリーをまずは無難にそつなくまとめており、そこそこに楽しめる。 前半は大実業家で絵画盗難の黒幕トーマス・クラウンと保険会社の敏腕調査員キャサリンの丁々発止の駆け引きが華麗に繰り広げられ、どちらも百戦錬磨ぶりを発揮して見ごたえがあるが、後半になって恋の鞘当てが始まるとキャサリンがそれまでのクールさとはうって変わった狼狽えぶりを見せ、いささか興醒めだ。 こうしたマイナス面はあるものの、絵画盗難のテクニックやラストの意外な犯罪トリックがこれをじゅうぶんにカバーしている。 フェイ・ダナウェイが前作の主演者としてカメオ出演しているのはご愛敬。 さらに前作の主題歌で、アカデミー主題歌賞を受賞した「風のささやき」がここでも使われており、ステイングが歌っている。 |
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●監督:アナンド・タッカー ●原作:ヒラリー・デュプレ&ピエール・デュプレ
●脚本:フランク・コトレル・ボイス ●製作総指揮:ガイ・イースト/ナイジェル・シンクレア/ルース・ジャクソン ●製作:ニコラス・ケント/アンドリュー・ペーターソン ●撮影:デビッド・ジョンソン ●美術:アリス・ノーミントン ●音楽:バリントン・フェロング ●出演:エミリー・ワトソン/レイチェル・グリフィス/ジェイムズ・フレイン デビッド・モリシー/チャールズ・ダンス セリア・イムリー/ビル・ペーターソン 1998年イギリス作品
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