1999年11月 NO.4
 
 
 
 
11/24 ヴァージン・フライト
(98イギリス)
 
 
 
 
製作総指揮:アナント・シン/デヴィッド・M・トンプソン
製作:ルース・ケイレブ 監督:ポール・グリーングラス 脚本:リチャード・ホーンス
撮影:イヴァン・ストラスバーグ 美術:トム・バウヤー 編集:マーク・デイ
出演:ヘレナ・ボナム・カーター/ケネス・ブラナー/ジェンマ・ジョーンズ
レイ・スティーブンソン/スー・ジョーンズ・ディヴィス/ホリー・エアー
 
 
 
 
 
 
 
11/24 カラー・オブ・ハート
(98アメリカ)
 
 
  
 
 アメリカが陽気で幸せな栄光に包まれていた50年代を背景に理想の家族を描いたホーム・ドラマ「プレザントヴィル」が今日もテレビで放送されている。 
 そしてこの番組の大ファンである「プレザントヴィル」おたくのデイビッドが双子の妹、ジェニファーとチャンネル争いをしているうちに突然そのホーム・ドラマの世界に紛れ込んでしまう。 
 そんな突拍子もない出来事から「カラー・オブ・ハート」の世界が始まっていく。 
 突然、主人公一家の一員になったふたりは雨も降らず、特別の事件も事故も起きない平和で退屈なプレザントヴィルの世界を生きていくことになる。 
 そしてマイナスの要素がなく、映画の書き割りのように薄っぺらな表面だけの世界にふたりが人間的な要素を持ち込むことで町の人々に次第に変化が現れ始める。 
 自分たちの世界に何の疑いももたず、ただ決められた通りの安全な生活を繰り返しているだけの脳天気な人間たちが新しい欲望や快楽に目覚め、自分たちの知らない価値観や自由の感覚を味わうことで次第に人間的に解放されていく。 
 それにしたがって白黒だけだったプレザントヴィルの町が徐々に色づき始める。 
 まさに血が通い始めるという表現そのままに白黒の画面のなかを色鮮やかな色彩が浸透し始める。 
 そしてそのように変化していく映像こそがこの映画最大の見せ場であり、売り物でもあるのだ。 
 最初はささやかにバラ一輪が変化しただけの色彩が次第にその勢いを増して画面を支配し始める美しさは素晴らしい。 
 プレザントヴィルの町に洪水のような勢いで春が押し寄せてきたかのようである。 
 さらにこうした変化に同調するかのように町には雨が降り、火事が起き、何も書かれていなかった本のページが活字で埋められていくのである。 
 「知る」ということがこんなにも人間を生き生きとさせるものだということをユーモアを交えながら描かれていく。 
 だが、こうした急激な変化が起きる時の常として、それを快く思わない保守派の人間たちによる強硬な秩序立て直し運動が巻起きることになる。 
 変化を容認できない人間の行動はその無知ゆえに、時として過激なものとなる。 
 ここでも彼らは本を焼き、色づいた人間たちを迫害し始める。 
 こうして町は白黒の人間と色のついた人間とに2分され、対立を深めていく。 
 それは歴史上これまでにもたびたび繰り返されてきた混乱をプレザントヴィルという小さな町に再現することで痛烈な文明批評を行おうとする意志のようにも見えてくる。 
 そしてそのどちらがいいとか悪いとかの判断を示すのではなく、いちど覚えた経験はもう二度と消し去ることはできないのだということを、またそれと同時に、いちど変化した社会も決して後戻りはできないのだということをこの物語は語っている。 
  
 これは『ビッグ』や『デーブ』といったファンタジック・コメディの傑作を書いた脚本家のゲーリー・ロスが初めてメガホンをとった作品である。 
 そしてそれらの作品同様に彼らしいひねった発想とアイデアがここにも溢れているのである。 
  

 
製作:ジョン・キリック/ロバート・J・デガス/スティーブン・ソダーバーグ
製作・監督・脚本:ゲイリー・ロス 撮影:ジョン・リンドレー 音楽:ランディ・ニューマン
美術:ジニーン・オプウォール 視覚効果:クリス・ワッツ 色彩効果デザイナーマイケル・サザード
編集 ウィリアム・ゴールデンバーグ 衣装:ジュディアナ・マコフスキー
出演:トビー・マグァイア/リース・ウィザースプーン/ジョアン・アレン
ウィリアム・H・メイシー/ジェフ・ダニエルズ/J・T・ウォルシュ/ドン・ノット
 
 
 
 
 
 
 
 
11/26 ソルジャー
(98アメリカ)
 
 
  
 
 B級アクションのスター、カート・ラッセルの近未来SFアクション。 
 生まれた時から兵士になるべく選別、訓練された優秀な殺人マシーン、訓練によって人間的な感情を抹殺され、ただひたすら敵を殺すことのみを忠実に実行する兵士をカート・ラッセルが魅力的に演じている。 
 終始、寡黙で無表情のままに行動し、それでいて人間的な感情に目覚める後半部分ではさまざまな心の葛藤を見せるといった役をシルベスタ・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーともまた違った魅力で見せてくれる。 
 物語の骨格は西部劇などでよく見かけるパーターンが基本になっており、それに「マッド・マックス サンダードーム」「ブレードランナー」「ポストマン」といった作品で見られるような荒涼とした未来感覚を組み合わせたものになっている。 
 戦闘によって死んだと思われたカート・ラッセルが捨て去られる廃棄物投棄星アルカディア234の終末感あふれる風景がそうした雰囲気をよく表している。 
 さらにそこは地球を飛び出した移民の一団が独自の共同体を造って隠れ住んでいるという設定で、その人間たちにカート・ラッセルは助けられ、そこで生活するうちに次第に人間的な感覚を取り戻していくことになる。 
 だが殺人マシーンである彼のそうした変化は理解されず、危険人物として共同体からも追放されてしまう。 
 そしてそんな移民たちのために不法滞在を一掃しようと攻め込んできた軍隊相手にカート・ラッセルがたったひとりで獅子奮迅の活躍をするというお決まりの展開へと突き進んでいくのである。 
  
 誰からも受け入れられることのない孤独感、その宿命に身を委ねる潔さ、さらに最後には持てる能力のすべてを出し切って敢然と戦い抜く姿、そうしたカート・ラッセル演じる兵士の造型の面白さが丁寧に描かれることで、なかなか見ごたえのあるアクション映画になっている。 
 また敵役の最強の兵士をスキン・ヘッドにしたジェイソン・スコット・リーが不気味に演じているのもアクションを盛り上げる大きな要素になっており、もうひとつの見どころにもなっている。 
  

 
製作総指揮:ジェイムズ・G・ロビンソン/R・J・ルイス/スーザン・イーキンズ
製作:ジェリー・ワイントローブ 監督:ポール・アンダーソン 脚本:デイビッド・ウェブ・ピープルズ
撮影:デイビッド・タターソール 美術:デイビッド・L・スナイダー 視覚効果監修:エド・ジョーンズ
出演:カート・ラッセル/ジェイソン・スコット・リー/ジェイソン・アイザックス
コニー・ニールセン/ショーン・パートウィー/テイラー・ソーン/ジェイリド・ソーン
 
 
 
 
 
 
 
11/28 ウィズ・ユー
(97アメリカ)
 
 
  
 
 自分のことを本当に理解してくれる人を捜し求める空想癖の強い少女と知的障害のある青年との短い触れ合いを描いた物語である。 
 「普通の人々」でアカデミー助演男優賞を受賞したティモシー・ハットンの初監督作である。 
 ケビン・ベーコンが知的障害者に扮し、メアリー・スチュアート・マスターソンが出演ということもあって、もっとハートウォーミングな展開を期待していたのだが、それほどの盛り上がりもないままに意外とあっさりと終わってしまった。 
 題材からすればもう一波乱があり、もっとおもしろい内容にすることができたようにも思うのだが、初監督作ということを考えれば、これ以上はいたしかたがないのかもしれない。 
 知的障害者を演じたケビン・ベーコンの熱演だけが印象に残った作品である。 
  
 
製作総指揮:エシー・ストロー/デヴィッド・T・フレンドリー/ステファン・メネス
製作:マリリン・ヴァンス/アラン・ムルフカ/ジョン・デイヴィス/J・トッド・ハリス
監督:ティモシー・ハットン 脚本:カレン・ジャンセン 撮影:ジョーゼン・パーソン
出演:エヴァン・レイチェル・ウッド/ケビン・ベーコン /メアリー・スチュアート・マスターソン
キャシー・モリアーティ/マリアン・セルデス
 
 
 
 
 
 
 
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