2010年6月7日
 
 
愛のむきだし
LOVE EXPOSURE
 
 
2008年日本作品。  上映時間237分。 監督/原案/脚本: 園子温 アクション監督: カラサワイサオ プロデューサー: 梅川治男 エグゼクティブプロデューサー: 横濱豊行/河井信哉 撮影: 谷川創平 特殊メイク: 西村喜廣/石野大雅 特殊造型: 西村喜廣/石野大雅 美術: 松塚隆史 編集: 伊藤潤一 音楽: 原田智英 主題歌: ゆらゆら帝国 VFXディレクター: 馬場革 アクションデザイン: 坂口拓 出演: 西島隆弘/ 満島ひかり/ 安藤サクラ/ 尾上寛之/ 清水優/ 永岡佑/ 広澤草/ 玄覺悠子/ 中村麻美/ 渡辺真起子/ 渡部篤郎 角田テツ/板尾創路/岩松了/大口広司/大久保鷹/岡田正/倉本美津留/ジェイ・ウェスト/深水元基/吹越満/古屋兎丸/堀部圭亮/宮台真司
 
ぴあフィルムフェスティバル(1987年度)でグランプリを受賞、そのスカラシップとして制作された『自転車吐息』で監督デビューした園子温(そのしおん)の渾身のラブストーリーである。
上映時間3時間57分という長時間の映画であったが、その長さを感じさせないおもしろさであった。
園子温ワールドに完全に嵌ってしまった3時間57分であった。

主人公のユウ(西島隆弘)はクリスチャンの両親のもとで育った高校生である。
幼い時に母親は夭折、以後神父となった父親(渡部篤郎)とふたりだけの生活を送っている。
その生活は信仰に支えられた満たされたものであった。
だがある女(渡辺真起子)の登場をきっかけに、その静かな生活は一変する。
女の強引で常識外れな求愛を受け入れた父親は、彼女を新しい家族として迎え入れる。
だが気まぐれな彼女は、その後、心変わりをして家を出て行ってしまう。
その日から父親は人が変わってしまい、ユウに対して、懺悔を強いるようになる。
心当たりのない彼は積極的に罪を作ることで、父親の要求に応えるようようとする。
そしてそれが父親との唯一の絆であるかのように、懺悔を繰り返す。
彼はいつしか不良仲間に加わり、そこで盗撮を覚え、その才能を発揮するようになる。
そしてヨーコ(満島ひかり)と名乗る美少女と運命の出会いを果たす。

と、ここまで書いてきたが、これでまだほんの序盤に過ぎない。
この後延々とユウとヨーコ、そして父親と彼を捨てたカオリ、さらに彼ら一家を執拗につけねらう新興宗教「ゼロ」の女性信者コイケとの破天荒な物語が続いていくが、これ以上あらすじを追っても仕方がないような複雑怪奇な世界が続いていく。
その内容は多岐に渡り、聖と俗が入り乱れるカオスの世界が繰り広げられていく。
盗撮、女装、レスビアン、変態、そしてキリスト教、カルト教団、原罪、マリア、さらには純愛、友情、家庭崩壊、暴力、殺人といったあらゆるものがてんこ盛りになった世界である。
それでいて、けっしてぶれず、破綻もしない。
さらに「女囚さそり」や「キル・ビル」といった映画的な記憶を散りばめながら、「エロ」「グロ」「バイオレンス」満載の物語が、時に馬鹿馬鹿しいほどのユーモアを交えて展開されていく。
さらにB級映画の匂いも放ちながら、圧倒的なパワーで疾走していく。
これほど猥雑でありながら、純愛を感じさせるという映画も珍しい。
主役のユウとヨーコを演じた西島隆弘、満島ひかり、さらに女性信者コイケを演じた、安藤サクラがすばらしい。
どちらかといえばアイドル系のようなキャラクターの3人が、これほど強烈で破天荒な人物たちを、違和感なく演じて、目を釘付けにしてしまう。
その才能のきらめきには、心底惹きこまれてしまった。

園子温の映画は『自転車吐息』くらいしか観たことがなく、これまではどちらかといえば判り難い映画を作るインディーズ系の特異な監督という認識しかなかった。
だから、これほどすごい映画を撮るとは思いもしなかった。
それだけに、驚きは大きく、さらに認識を新たにしたのである。

「愛」だけではなく、なにもかもが「むきだし」になった、強烈で素晴らしい映画に、映画的興奮をたっぷりと味わった。<2010/6/15>

 
 
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