2000年アメリカ作品
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監督・脚本:カリン・クサマ 製作総指揮:ジョン・セイルズ
美術:スティーヴン・ベアトリス 編集:プラミー・タッカー
撮影:パトリック・ケイディ 音楽:テオドール・シャピロ
出演:ミシェル・ロドリゲス/ジェイミー・ティレリ/ポール・カルデロン
サンティアゴ・ダグラス/レイ・サンティアゴ/エリサ・ボカネグラ
シャノン・ウォーカー・ウィリアムズ/アイリス・リトル・トーマス
ジョン・セイルズ/アリシア・アシュレイ |
昨日はゲイたちがバレーボールで活躍する「アタック・ナンバーハーフ」を観たのに続いて、今日は女の子がボクシングで活躍する映画「ガールファイト」を観る。
偶然にも似かよった映画を続けて観ることになったが、こんなふうに観てみるとスポーツの世界も今や性差による壁が急激に失われつつあるのだなとあらためて思ってしまう。
考えてみればここ数十年間の女性の進出はめざましく、かっては無理だと思われていたマラソンや格闘技でさえも、ごくあたりまえのスポーツとして女性たちがチャレンジするようになっている。
そしてそうした種目への適正が疑問視されていたことがまるで嘘のように、女性たちは思わぬ力を発揮、今ではその存在を動かし難いものにしている。
そんな背景を考えると、こうした映画は出てくるべくして出てきた映画ということになるのだろう。
17歳の少女ダイアナは胸に鬱屈したものを抱えている。
そしてそのやり場のない思いをひたすらケンカをすることでぶちまける。
当然学校では問題児として扱われる。
そんな彼女がふとしたきっかけでボクシングと出会い、トレーニングに没頭することで本来の自分を取り戻し、人間的にも成長していくというのがこの映画のおおまかなストーリーである。
そこに父親との確執やジムで知り合ったボーイフレンドとの恋愛をからませるあたりはお決まりの内容なのだが、最後にリング上でボーイフレンドと対戦しなければならなくなるといった展開はなかなかのアイデアといえる。
最初はダイアナとのファイティングを嫌がっていたボーイフレンドのエイドリアンだが彼女の真剣な説得に、ついにはリング上で手加減なしの勝負を挑むことになる。
だが試合後のふたりには言いようのないわだかまりが残ってしまう。
そして互いに悩んだ末の和解、そんな姿を見ていると、これはひとり女性の側だけの問題ではないのだということに気づかされる。
まさにこれは男の側にも突きつけられた問題なのだ。
こうした問題にどう反応し、どう対応するかが現代の男性には問われているのだと思う。
ふたりの闘いの顛末を見ていると、「男女の愛情も闘いだ」といったふうなメッセージが聞こえてくるようだ。
こうしたぶつかり合いのなかからほんとうに価値ある愛情が育ってくるのだといううふうに。
この映画は昨年のサンダンス映画祭でグランプリを受賞した作品だ。
監督は日系の女性、カリン・クサマ。これが初監督作である。
主演の女優、ミシェル・ロドリゲスのふてぶてしい目つきとファイトシーンが素晴らしい。
実際彼女はこの映画のためにかなりハードなトレーニングを積んだということだ。
そんな彼女の個性なくしてはこの映画は成立しえなかったと思わせるものがある。
2002/01/06
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