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●監督・脚本:北野武 ●原作:奥山和由
●撮影:柳島克己●音楽:久石譲
●出演:ビートたけし/国舞亜矢/渡辺哲
勝村政信/寺島進/大杉漣/逗子とんぼ
1993年松竹作品
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北野武の映画の特徴はその暴力描写の衝撃性にある。
だからたとえ暴力が直接描かれない場面であったとしても、その衝撃の影を引きずってピリッとした緊張感で貫かれている。
「その男、凶暴につき」「3−4x10月」そして本作と続いたバイオレンス映画で北野武監督が心がけたことは手垢のついた演技や演出を極力避けるということだったように思う。
いかにもそれらしいといった先入観のあるイメージは北野監督のもっとも嫌うところである。
そうした常識や偏見に縛られた表現に出会うと必ず揶揄しようとする芸人根性が頭をもたげてきてしまう。
彼のシャイな性格や、下町育ちのセンスがそうしたものを許さない。
そんな創作態度で作られる彼の映画は、だからこそ新鮮なイメージや表現に満ちており、時としてその斬新さに驚かされることになる。
そしてそれがもっとも顕著に現れるのが、暴力描写ということになるのである。
そうした表現がこの映画ではますます洗練されたものになっている。 |
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