2000年3月 NO.1
  
 
SHURI
3/1 シュリ

●監督・脚本:カン・ジェギュ ●音楽:イ・ドンジュン 
●出演:ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク/ソン・ガンホ 
  
1999年韓国作品 

 まずオープニングでいきなり始まる殺人兵器養成訓練の過激さで度肝を抜かれる。 
 訓練のために行われる模擬戦などという生やさしいものではなく、兵士同士によるほんとうの殺し合いが行われる実戦さながらの(いやそれ以上の)訓練が繰り広げられる。 
 その鬼気迫る訓練の映像に圧倒される。 
 いわば劇画調に誇張された世界とも思えるが、南北対立という緊張が現実の韓国社会を考えれば、誇張だけとも思えないようなリアリティを感じてしまう。 
 とにかくオープニングのこのシーンだけで完全にこちらの心を鷲掴みにされてしまうのだ。 
 そして訓練によって生き残ったわずかな者がスナイパーに仕立てられ、韓国に送り込まれて要人暗殺を企てていくという本筋にごく自然に入っていくことになり、次の展開への期待がいやがうえにも膨らんでいく。 
 これを迎え撃つのが「八月のクリスマス」で印象的だったハン・ソッキュが所属する韓国情報機関の精鋭たちである。 
 両者の攻防がハリウッド映画さながらのスケールと力強さで展開されていく。 
 その激しいアクション・シーンはまるでジョン・ウーの世界を彷彿とさせる。 
 さらにそこに「八月のクリスマス」で描かれたような男女の機微も加えられるといったぐあいで、とにかく何倍にも楽しめる仕掛けがされているのだ。 
 ということでこの作品によって韓国映画のレベルの高さを改めて思い知らされた。 
 いまやその水準は日本のはるか上をいっているのではという印象をもたされた。 
 韓国では7人にひとりの人間がこの映画を観たそうだ。 
 その大ヒットもなるほどと頷けるような内容である。 
 とにかくこの映画には素直に脱帽するしかない。

 
  
 
FORCES OF NATURE
3/2 恋は嵐のように

 
●監督:ブロンウェン・ヒューズ 
●撮影:エリオット・デイヴィス ●音楽:ジョン・パウエル 
●出演:ベン・アフレック/サンドラ・ブロック/モーラ・ティアニー 
 スティーブ・ザーン/ロニー・コックス/ブライス・ダーナー 
1998年アメリカ作品 

 結婚を目前にしてその選択に迷いが生じるという話は「マリッジ・ブルー」という言葉があることからも分かるようにアメリカ映画にはよくあるパターンだ。 
 最近観た「ウエディング・シンガー」もそうした種類の映画であった。 
 ただそちらはドリュー・バリモア演ずるウェイトレスが可愛く思い悩む話であったが、こちらは反対に男男性側であるベン・アフレックにその疑念が生じるという話になっている。 
 そしてそのきっかけを作ることになるのがサンドラ・ブロック演ずる奔放な女性サラということになる。 
 ふたりは偶然乗り合わせた飛行機の離陸失敗のアクシデントで知り合い、これがきっかけでふたりいっしょの旅行をする羽目になる。 
 そしてその道中、つぎつぎと起きるトラブルのなかでお互いが反撥しながらもいつしか惹かれ合っていくというお決まりの展開が繰り広げられていき、その経験の中でベン・アフレックがこれからの人生をもういちど真剣に考え始めることになる。 
 ところがこれがいささかとってつけたような内容で、とても最後まではつき合いきれないなと思いながら観ていた。 
 ただ、ひょっとしてどこかで転調して面白くなるのではという微かな期待をいっぽうでは抱いており(本当はなかば諦めて)辟易させられながらも、とうとう最後まで我慢して見続けることになったのだ。 
 結局その期待は叶わなかったわけで、こういうときはどっと疲れが残る。 
 映画そのものの出来はけっして悪くはないが、こうなった最大の要因はサンドラ・ブロック演ずるサラの人物造型に違和感を感じたことにある。 
 常識にとらわれずあくまでも自分流の思いを貫いていくという現代アメリカ女性の典型のような女性を演じているが、こうした女性にありがちのひとりよがりの強引さがいまいち納得できる描き方ではなく、どうしても反撥を感じてしまうのだ。 
 そしてその強引さが原因でつぎつぎとトラブルが起きるに至ってはもはや何をかいわんやという気になってしまう。 
 二度の結婚失敗という過去をもちながらも、そこから何も学習していないのではと思わせてしまう。 
 結局こういった印象がいったん芽生えるとなかなか本筋に気持ちが入っていかないことになる。 
 といったわけでロマンティック・コメディはけっして嫌いではないが(むしろ好きと云うべきか)どうもこの映画には乗れなかったのだ。

 
 
 
UNCONQUERED
3/7 征服されざる人々

●製作・監督:セシル・B・デミル ●原作:ネイル・H・スワンソン 
●脚本:フレデリック・M・フランク/ジェシー・ラスキーJr/チャールズ・ベネット 
●撮影:レイ・レナハン ●音楽:ビクター・ヤング 
●出演:ゲーリー・クーパー/ポーレット・ゴダード/ハワード・ダ・シルバ 
 ボリス・カーロフ 
1948年アメリカ作品 

 「サムソンとデリラ」や「十戒」といったスペクタル史劇を得意としたセシル・B・デミル監督が1948年に撮った西部劇である。 
 開拓時代初期のアメリカ西部を舞台に繰り広げられる開拓者の生活やインディアンとの争いがスケール大きく描かれている。 
 テレビで放映されていたのを最初は何気なく観ていたが、いつのまにか目を離せなくなり、結局深夜にも関わらず最後まで観ることになってしまった。 
 やはりこの頃のハリウッド映画は面白く見せることを最優先に作られているせいか、途中で投げ出して眠ってしまうというわけにはいかなくなってしまう。 
 ラストがハッピーエンドということは分かっていても、ついつい最後までつき合わされることになる。 
 やはり物語の骨格がしっかり出来ているのと、どう見せれば楽しめるかという技術や工夫が凝らされているということだろう。 
 だから途中で眠くなるということもなかったわけだ。

 
 
 
 
3/9 カラオケ

●原案・監督:佐野史郎 ●脚本:竹内銃一郎 
●エグゼクティブ・プロデューサー:貴島誠一郎 
●撮影:柴主高秀 ●音楽:浦山秀彦 
●出演:段田安則/黒田福美/美保純/野口五郎/島崎俊郎/柴田理恵 
 ベンガル/佐野史郎/織本順吉/石川真希/坪田翔太 
1999年TBS作品 

 個性派俳優、佐野史郎の初監督作品。 
 彼自身の経験をベースに描いた青春への鎮魂歌である。 
 1960年代後半から70年代にかけて中学生であった主人公たちが、遠く離れたひとりの級友の久しぶりの帰省を機会に集まって、旧交を暖め合うという話である。 
 そして2次会のカラオケ・ボックスで懐かしの歌を唄うにしたがって現在の生活と過ぎ去った時間が交錯し合いさまざまな感慨が去来することになる。 
 学校を終えた者なら誰しもが等しく経験する同窓会という一種非日常的な行事をうまく使い、なかなかおもしろい作品に仕上げている。 
 佐野史郎の故郷松江市に見立てた長野県諏訪市のロケーションが古い地方都市の風情を醸し出してなかなかいい。(この映画を観ているとき、てっきり松江市でのロケーションだとばかり思っていた。そしてなんと風情のあるいい町だろうと思っていたわけだ。だがこの地をロケ地に選んだということはおそらく松江市も同じような風情の町なのだろうと思う。) 
 こうした風景のなかで少年、少女時代を過ごした主人公たちだからこそ、こうした感傷も素直に納得させられるということだろう。 
 似たような環境、似たような時代を生きてきた私にとっては、これはたまらなく切ない共感を感じる映画である。 
 そしてラストでカルメン・マキが歌う「戦争は知らない」が流れると思わず胸が熱くなってしまったのである。

 
 
 
 THE MADNESS OF KING GEORGE
3/13 英国万歳!

●監督:ニコラス・ハイトナー ●脚本:アラン・ベネット 
●製作:スティーヴン・エヴァンス/デヴィッド・パーフィット 
●撮影:アンドリュー・ダン ●音楽:ジョージ・フェントン 
●出演:ナイジェル・ホーソーン/ヘレン・ミレン/イアン・ホルム/アマンダ・ドノホー 
 ルパート・エヴェレット/ルパート・グレイヴス/ジム・カーター 
1994年イギリス/アメリカ作品 

 昨年観て強く印象に残った映画「私の愛情の対象」の監督、ニコラス・ハイトナーの監督デビュー作である。 
 イギリス国王ジョージ3世がかつて狂気の病に罹ったという事実をもとに作られた舞台劇の映画化作品。 
 これを舞台の演出家であるニコラス・ハイトナーが監督し、ジョージ3世を演じたナイジェル・ホーソンが舞台同様に演じている。 
 国王が狂うと国はどうなるのか、その混乱と騒動の顛末が時には重厚に、時にはコミカルに、そしてイギリス映画らしく英国王室への皮肉ももちろんぬかりなく描かれている。 
 政権奪取を図ろうとする皇太子一派、そしてこれを阻止しようとする国王派の政治家たち、さらに王妃、侍従、近衛兵、王室医師団たちが入り乱れての権力争いが国王の病状の進行とともに展開されていくが、結局外部からやってきた聖職者でもある医者の手によって治癒されるというのがなんとも皮肉である。 
 この医者を演じるのが名優イアン・ホルム。 
 ふたりの名優が国王と医者に別れて見せる競演が見ごたえがある。 
 また、ほぼ回復した国王が側近たちを相手に「リア王」を読み合うシーンがあるが、実際のシェークスピア俳優たちによる二重の意味での演技が見られておもしろい。 
 そういえば昨年、蜷川幸雄がイギリスで「リア王」を演出して話題を呼んだが、このときに「リア王」を演じたのがこのナイジェル・ホーソンだった。 
 そういった意味でも興味をひかれる映画であった。

 
 
 
 
 
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