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●監督:アンディ・テナント ●脚本:スティーブ・ミアーソン/ピーター・クライクス
●製作総指揮:テレンス・チャン ●製作:ローレンス・ベンダー/エド・エルバート ●撮影:ケイレブ・デシャネル ●編集:ロジャー・ボンデリ ●衣装:ジェニー・ビーバン ●プロダクションデザイナー:ルチアーナ・アリジ ●音楽:ジョージ・フェントン ●出演:ジョディ・フォスター/チョウ・ユンファ/バイ・リン 1999年アメリカ作品
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シャムの国王モンクットを演ずるチョウ・ユンファが圧倒的に光っている。
アカデミー賞女優のジュディ・フォスターを向こうにまわして同等に、いやむしろそれ以上で、完全に彼女を喰っている。 それほど彼の魅力が輝いている。 そのためにチョウ・ユンファ演じるモンクット王の大きさの前ではジュディ・フォスター演じるアンナの一歩も譲らぬ強さがただ頑なで意地っ張りなだけの底の浅いものに見えてしまうのだ。 さらに雄壮華麗な19世紀のシャム国を再現した美術や衣装の素晴らしさがモンクット王の威厳をいやがうえにも高めており、ジュディ・フォスターならずとも強く彼に魅入られてしまう。 この作品によって、チョウ・ユンファは確実にハリウッドにその存在を刻みつけたにちがいない。 そんな彼の記念すべき作品である。 |
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●監督:サム・ライミ ●原作・脚色:スコット・スミス
●製作総指揮:ゲーリー・レビンソン&マーク・ゴード ●音楽:ダニー・エルフマン ●出演:ビル・パクストン/ビリー・ボブ・ソーントン/ブリジット・フォンダ ブレント・ブリスコー/ベッキー・アン・ベイカー/チェルシー・ロス 1998年アメリカ作品
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雪に覆われた静かな町で繰り広げられる大金をめぐる犯罪ということからつい「ファーゴ」との共通性を思い浮かべてしまうが、こちらはあくまでもシリアスにその犯罪の顛末を見つめている。
ベストセラー小説が原作になっているが、原作者のスコット・スミス自らがシナリオを書いている。 監督は個性的な映画づくりで知られるサム・ライミ。 彼が持ち味の荒唐無稽さをかなぐり捨ててきわめてオーソドックスな映画づくりを目指しており、守備範囲の広さと器用さを見せている。 主演の兄弟を演じるのはビル・バクストンとビリー・ボブ・ソーントン。 何をやってもうまくいかない哀れな兄と堅実に自分の生活を築き上げている優秀な弟というまさに愚兄賢弟を絵に描いたようなふたりを中心に物語が展開していく。 偶然手に入れた大金が彼らの人生を狂わせる。そして悪銭身に付かずといったことわざ通りに破滅の路をまっしぐらに突き進んでいく。 哀れを誘う話である。とくにビリー・ボブ・ソーントン演じる愚兄の哀れさにひとしお胸打たれる。 人間、身分不相応な大金を手に入れるとロクなことはない。 やはり身の丈に合った生活をするのがいちばんだということであろう。 |
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●監督:ティム・バートン ●原案・脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
●原作:ワシントン・アーヴィン ●製作・原案・特殊効果:ケヴィン・イエーガー ●製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ/ラリー・フランコ ●製作:スコット・ルーディン/アダム・シュローダー ●編集:クリス・リーベンゾン ●撮影:エマニュエル・ルベツキー ●衣装デザイナー:コリーン・アトウッド ●プロダクション・デザイナー:リック・ヘインリック ●音楽:ダニー・エルフマン ●出演:ジョニー・デップ/クリスティーナ・リッチ/ミランダ・リチャードソン マイケル・ガンボン/キャスパー・ヴァン・ディーン/マーク・ピッカリング クリストファー・リー/リサ・マリー/クリストファー・ウオーケン |
ティム・バートン描く映画には「バットマン」や「シザー・ハンズ」といったゴシック・ロマンの世界と「エド・ウッド」や「マーズ・アタック」といったチープな世界のふたつがあるが、この「スリーピー・ホロウ」は前者のゴシック・ロマンに徹底的にこだわった世界が描かれている。
原作は19世紀の小説家ワシントン・アーヴィングが書いた古典的ホラー小説『スリーピー・ホローの伝説』。 ニューヨーク郊外にある村スリーピー・ホロウで起きる数々の首なし殺人事件の謎を追ったこの物語はアメリカ人にとっては馴染みのある物語だそうで、そのよく知られた話を「セブン」の脚本家アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーがなかなか見事に脚色している。 そしてその謎めいた雰囲気をティム・バートン監督はスリーピーホロウの村をすべてセットで再現するという方法で見事に映像化しているのだ。 まるでアニメでも観ているような人工的かつそれでいて時代を感じさせる重厚で深みのあるセットが胸ときめくようなロマンを感じさせる。 そしてそこに常に流れる深い霧がさらに謎めいた気分を高めてくれる。 まるで昔観たドラキュラ映画のような謎と恐怖が漂っている。 そう、まさにティム・バートンはかつてのドラキュラ映画に代表されるようなハマー・ホラー映画へのオマージュをこの映画にこめているのだ。 それが証拠にあのドラキュラ伯爵を演じた俳優クリストファー・リーがこの映画に顔見せで出演しているではないか。 彼をカメラに捉えるショットからはまるでティム・バートンの胸の高鳴りが聞こえてきそうな気がする。 ところでこの映画ではそのドラキュラ伯爵に匹敵するようなキャラクター、首なし騎士が登場してわれわれ観客を大いに楽しませてくれる。 この怪人を演ずるのが怪優クリストファー・ウォーケン。髪を逆立て、目には死人のようなコンタクトを入れ、獣のような歯のメーキャップを施して、縦横無尽の活躍を見せてくれるのだ。 そしてそれを受けて立つのがジョニー・ディップ。 ティム・バートン映画ではお馴染みだが、やはり彼が出演するとバートン映画の世界が大きく膨らんで見えてくる。 生真面目な熱血漢で、それでいてどこか抜けたような愛嬌があり、近代的な科学捜査をいち早く取り入れて捜査を行うという現代青年役は彼にピッタリである。 さらに幼児期には複雑な家庭環境から心に深い傷を負っており、その記憶が今回の事件に流れる怪奇さとどこかつながっているといった設定になっている。 ナイーブで、気の弱い彼が事件の衝撃から、たびたび卒倒してしまうというのもなかなか笑えておもしろい。 だが、そんな気の弱い彼が窮地に陥ると勇気をふりしぼって敢然と立ち向かっていくのが頼もしい。 そこには彼の職務を遂行する使命感と同時に恋した娘をなんとか守りたいとする一途な思いが感じられて微笑ましい。 とにかく、恋あり、謎あり、恐怖ありといった夢のような時空間をたっぷりと味わえる一級のエンターテインメント映画であることは間違いない。 |
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