映画エッセイ
 
 
 
深夜のビデオ 

  
 歳のせいか、最近、夜中に眼が醒めることが多い。 
 眠りが浅いというわけでもないが、ここ数年、特に多くなってきた。 
 一度眼が醒めると、なかなか寝つけない。 
 身体の芯に眠気が残っているが、一度醒めた神経はなかなか眠りに入っていかない。 
 こういう時、無理矢理眠ろうとすると、ますます眠れなくなる。 
 以前はそうやって明け方まで七転八倒し、結局、眠られず、苦い思いをしたものだが、最近はそのように無理に格闘することをやめた。 
 では、どうするのかといえば、ビデオで映画を観るのである。 
 観たいと思って録画しておいたビデオがたまっていることもあれば、レンタルしておいたのが残っている場合もある。 
 そうした映画を引っぱり出し、半睡状態で、観るともなく流していると、たいていの場合、二、三十分もすると眠くなり、再び眠ることができる。 
 恰好の睡眠薬である。 
 時に面白い映画に出会うと、眠気が醒め、次第に眼が冴えてくることがある。 
 結局そのまま最後まで観てしまい、朝を迎えるということになる。 
 しかし、それも半ば覚悟の上であり、眠らなかったことを悔やむ気持ちはない。 
 むしろいい映画を観ることができた満足感のほうが大きい。 
 ましてや眠ろうと格闘した末に朝を迎えることを思えば、余程このほうがいい。 
 こうやって観た映画が最近はかなり増えたように思う。 

 考えてみれば便利になったものだ。 
 昔は映画を家で観ることなど遠い夢であったが、今では手軽にこうして好きな時に観ることができる。 
 本格的なホームシアターを持つひとも珍しくない時代である。 
 そこまでの贅沢は望むべくもないが、私にとって、こうした眠られぬ夜を過ごすために、ビデオは欠かせない道具になっている。 
 

 
 
 
 
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