映画エッセイ
 
 
 なみおか映画祭 

1993年に浪岡町で第1回なみおか映画祭が開催された。 
 浪岡町は弘前と青森の間に位置する人口2万人の小さな町である。 
 どういう経緯でこの映画祭が開かれるようになったか詳しくは知らないが、弘前や青森の熱心な映画ファンたちが実行委員に名を連ねている様子から察すると、その方面からの強力な後押しと手助けが映画祭実現に大いに寄与しているのではないかと想像する。 

 弘前市は弘前大学を中心にした文京の町であり、文化的なものに関心が深いということもあり映画館の数も多い。(しかし、その後、1995年にマルチフレックス方式のワイナーマイカル・シネマができたことでかなりの数の映画館が姿を消してしまったが) 
 そんな中に「弘前マリオン劇場」というこだわりのあるプログラムを組む映画館があり、この映画館のことは映画配給関係ではかなり有名な存在らしく、なみおか映画祭のフィルム借り出しの際にもかなり有力な後ろ盾になったそうである。 
  
 第1回の上映作品はモスクワのレン・フィルムの映画の特集であった。 
 4日間にわたって上映され、最終日にゲストの記念講演という日程である。この時の講師は映画評論家の蓮実重彦氏であった。 
 この時は、残念ながらこの映画祭の存在を知らず、参加できなかったのだが、第2回目からは全日程を通して映画を観ることができた。 
 その時はアッバソ・キアロスタミ監督の映画を中心にした中近東映画の特集であり、日頃まったく目にすることのない国の映画ということで非常に興味深く観ることができた。 
 ちなみに、キアロスタミ監督の作品は「ともだちのうちはどこ」と「そして人生は続く」の2本の上映であった。 
 講師は作家の金井美恵子氏であった。 
  
 第3回は日本映画の特集で、その名も「活劇の系譜」であった。 
 戦後の東映チャンバラ映画全盛期に育った私にとって、願ってもない企画であり、特に大ファンである加藤泰の作品が4本も上映され、楽しんで観ることができた。 
 上映作品は 
 加藤泰 「緋牡丹博徒 お竜参上」「明治侠客伝 三代目襲名」「車夫遊侠伝 喧嘩辰」「沓掛時次郎 遊侠一匹」 
 マキノ雅弘 「鴛鴦歌合戦」「阿波の踊り子」「次郎長三国志 次郎長売り出す」 
「次郎長三国志 海道一の暴れん坊」「日本侠客伝 血斗神田祭り」 
 山中貞雄 「丹下左膳余話 百万両の壺」 
 三隅研二 「座頭市物語」 
 森一生 「薄桜記」 
 田中徳三 「手討ち」 
 すでに観ている作品もいくつかあったが、なかでも加藤泰監督の「沓掛時次郎 遊侠一匹」は彼の代表作であり、十数年来観たいと切望していた作品ということもあり、特にうれしいプログラムであった。 また、伝説の監督である山中貞雄の作品にいたっては現存している作品がわずか3本しかなく、そのうちの1本という貴重な作品であった。  
今回の講師は映画評論家の山根貞男氏である。過去、量産され続けた日本の娯楽映画の中から良質の作品を発掘しようと精力的に活躍されている評論家であり、今回の特集にはまさに適任であった。 
 もっとも古い作品は山中貞雄の「丹下左膳余話」であり、これは昭和十年の作品である。また、マキノ雅弘の「鴛鴦歌合戦」「阿波の踊り子」は戦前の作品である。 
 そして、加藤泰の「緋牡丹博徒」が一番新しく、昭和四十五年の作品である。 
 これらの作品が作られた時代は日本映画がもっとも輝いていた時代であり、ここに登場した監督たちはその時代の中で良質のプログラムピクチャーを作り続けた人たちである。 
 そして、どの作品も質の高いものであり、それを思うと、当時の撮影技術がいかに水準の高いものであったかということを再認識させられる。 
 そして、失ったものの大きさを今さらながら思う。 

 
  
 関連サイト CINEMA LAND 「過去の特集」に「なみおか映画祭」の記事がある。 
  
  
 
 
 
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