1999年11月 NO.1
 
 
 
 
11/1 シックス・センス
(99アメリカ)
 
 
  

  
 「シックス・センス」とは読んで字のごとく人間の第6感のことであるが、ここではさらに一歩踏み込んで霊感といったほうがより適切だろう。 
 その「シックス・センス」と呼ばれる霊感をもってしまった少年が、そのことで普通の人間には見ることのできない「死者」が見えるようになり、それを誰にもうち明けられずひとり悩み苦しむ。 
 自分は普通の人間ではないという悲しみ、もしかすると自分は「化け物」なのではないかという怯えと不安を誰にもうち明けられず、死者との遭遇にひたすら耐えている。 
 そんな少年を同じ様な境遇にあった少年を救えなかったという苦い過去をもつ精神科医のブルース・ウィリスが救おうとする。 
 そしてその治療を施すことでブルース・ウィリス自身のトラウマもともに癒されていくという物語である。 
 これをホラー風ミステリーといった謎めいた趣向で見せていく。 
 監督および脚本を書いたのはM・ナイト・シャマランという29才のインド人というのが異色である。 
 インド人らしい精神世界を巧みに盛り込んだ映画といえようか。 
 また彼自身がアメリカ社会のなかではインド人という特殊な立場の少年であったということがこの少年の姿に重なって見えてくる。 
 そしてそんな彼の育ったフィラデルフィアを物語の舞台に選んだことで、その歴史ある古さが謎めいた画面をひきしめる効果を果たしており、恐怖感にいっそうのリアリティーが生まれている。 
 ラストに仕掛けられた「秘密」がなかなかのアイディアである。 
 それによって映画がさらに深い意味をもってくることになる。 
 巧妙に仕掛けられたこのワナにはまることで、われわれは映画をさらに反芻することとなり、忘れられないものとなってくるのである。 
  

 
製作総指揮 サム・マーサー 製作 キャスリーン・ケネディ/フランク・マーシャル
監督・脚本 M・ナイト・シャマラン 撮影 タク・フジモト 音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 ブルース・ウィリス/ハーレイ・ジョエル・オスメント/トニ・コレット
 
 
 
 
 
 
 
 
11/02 若い人
(62日活)
 
 
  
  
 BS放送「日本映画100本」企画で石原裕次郎、吉永小百合初共演の「若い人」を観る。 
 石坂洋次郎原作の青春小説の映画化作品。 
 私生児として育った女学生(吉永小百合)が新任の青年教師(石原裕次郎)に恋心を抱いたことから起こる騒動を彼に好意をもつ女性教師(浅丘ルリ子)をからませて描いた作品である。 
 特殊な生活環境から普通の少女とは違って複雑に屈折した心をもつ少女を吉永小百合が元気いっぱいに演じている。 
 対して裕次郎と浅丘ルリ子が爽やかな受けの演技で応えており、なかなかいいアンサンブルを見せている。 
 さらに大坂志郎、北村和夫、小沢昭一ら、当時の日活映画の常連たちが確かな演技で脇を支えており、今観ても十分に新鮮である。 
 監督は西河克己、やはりこの監督はアイドルの使い方がうまいナとあらためて思った次第である。 
  

 
監督 西河克巳 原作 石坂洋次郎 脚本 三木克巳
撮影 萩原憲治 音楽 池田正義
出演 石原裕次郎/浅丘ルリ子/吉永小百合
大坂志郎/北村和夫/三浦光子/小沢昭一
 
 
 
 
 
 
 
 
11/04 ウエディング・シンガー
(98アメリカ)
 
 
  
 
 結婚式を歌とトークで盛り上げる「ウェディング・シンガー」なる職業があることをこの映画で初めて知った。 
 日本で云えば結婚式の司会業のようなものだろうが、さすがアメリカだけあって歌でも式を演出するわけだ。 
 そしてその曲にあわせて踊るというのがどうやらアメリカ流結婚式の定番のようである。 
 さてその「ウェディング・シンガー」のロビー(アダム・サンドラ)が主人公のこの映画であるが、彼は自分の結婚式では肝心の花嫁に逃げられるというトラブルに遭遇してしまう。 
 結局彼の結婚相手の選択は間違っていたわけだが、ここにもうひとり結婚の選択に迷う女性が現れる。 
 ドリュー・バリモア扮する新米のウエイトレス、ジュリアである。 
 彼女も近々結婚式を挙げる予定になっているが、その相手が自分にとって本当に運命の人なのかどうか自信がもてないでいる。 
 そしてそんな迷いを結婚式の準備に奔走することで払いのけようとしているのだが、ロビーにその手助けをしてもらっているうちに次第にふたりは愛を感じるようになっていく。 
 こうした展開が物語の舞台となる1980年代のヒット曲にのって軽快に繰り広げられていく。 
 そしていくつかの行き違いや誤解によってふたりの間が危うくなるが、結局は納まるところに納まっていくという話である。 
 こういった種類の話となればそれをどう料理し、どうおもしろく見せていくかというデティールが重要なポイントになってくるのだが、ここではその点がなかなかうまくまとめられており、期待通りにハッピーな気分にさせられる。 
 そして最後にドリュー・バリモアの素敵な笑顔を目にすると素直に祝福を贈りたい気持ちになってくるのである。 

 
製作 ロバート・シモンズ/ジャック・ジャラプト 監督 フランク・コラチ
脚本 ティム・ハーリヒー 撮影 ティム・サーステッド 音楽 テディ・カステルッチ
出演 アダム・サンドラ/ドリュー・バリモア/クリスティーン・テイラー
アレン・コヴァート/アンジェラ・フェザーストーン/マシュー・グレイヴ
 
 
 
 
 
 
 
 
11/05 レディーバード・レディーバード
(94イギリス)
 
 
  
  
 「母親失格」の烙印を押され、4人の子供を福祉局の手でつぎつぎと強制的に養子に出された主人公マギーが南米パラグアイからの政治亡命者ジョージと知り合い、お互いの孤独を埋めるように愛しあう。 
 やがてふたりは結婚し、子供が産まれるが、前例ゆえにまたもや福祉局によって子供を取り上げられてしまう。 
 そして再び裁判で「母親失格」のレッテルを貼られ、児童保護の名のもとに養子に出されてしまう。 
 これは実際にあった話を映画化したものだそうだが、なんともやりきれない思いがする。 
 児童虐待や劣悪な育児環境にある子供を法律で守るということは現代においては確かに必要かつ重要なことには違いないが、非常にデリケートな問題を含んでいるだけに、ひとつ間違えればこの映画のように誤解と偏見から判断を誤ってしまうというケースもなきにしもあらずであろう。 
 その際の親の悲しみを思うとなんとも胸が痛い。 
 主人公マギーの身も世もない悲しみの姿には言葉を失ってしまう。 
 まるでわが事のような無力感に囚われてしまう。 
 またケン・ローチがこうした事実を醒めた視線で凝視しているだけに、よりいっそう訴えかけてくるものがある。 
 腹の底にこたえるような余韻が残る。 
  

 
製作 サリー・ヒビン 監督 ケン・ローチ 脚本 ロナ・ムンロ
撮影 バリー・アクロイド 音楽 ジョージ・フェントン
出演 クリシー・ロック/ウラジミール・ベガ/レイ・ウィンストン
 
 
 
 
 
 
 
 
11/06 パワー・オブ・ワン
(92アメリカ)
 
 
 
  
 
 BS放送での放映をなにげなく観ていたが、気がつくとそのおもしろさに思わず引き込まれてしまった。 
 南アフリカを舞台に幼くして孤児となった少年が善意ある人々に支えられながら成長していく姿をアパルトヘイトの問題を絡ませながら雄大に描いている。 
 人種差別の問題をけっして告発調ではなく、南アフリカという土地に生まれ育ち、そこの自然や人間を愛するが故にどうしても避けられない運命として自然に物語のなかに組み込まれているところが好感が持てる。 
 基本はあくまでも娯楽作としてのスタンスをくずさずに、それでいて強烈にアパルトヘイトの現実を描いていく巧みさはやはりジョン・G・アビロドセン監督ならではであろう。 
 また中心となるボクシング場面の切れ味のよさもさすが「ロッキー」でならした監督だけのことはある。 
 思わぬ拾い物であった。 
  
 「いかなる疑問であっても、答えは自然のなかにある」という言葉が印象に残る。 
 自然と共存しながら生きる人間の謙虚な人生哲学といえよう。 
  

 
製作総指揮 スティーブン・ルーサー/グラハム・バークグレッグ・クート
製作 アーノルド・ミルチャン 監督 ジョン・G・アビルドセン
原作 ブライス・コートネイ 脚本 ロバート・マーク・ケイメン
撮影 ディーン・セムラー 音楽 ハンス・ジマー
出演 スティーブン・ドーフ/モーガン・フリーマン/ジョン・ギールグッド/ガイ・ウィッチャー
アーミン・ミューラー・スタール/サイモン・フェントン/フェイ・マスターソン
 
 
 
 
 
 
 
 
11/8 将軍の娘 エリザベス・キャンベル
(99アメリカ)
 
 
 
 
 マッカラム米軍基地内でエリザベス・キャンベル大尉(レスリー・ステファンソン)の全裸絞殺死体が発見される。 
 彼女は次期副大統領候補と噂されるキャンベル将軍の娘で、心理作戦の教官を務める才媛であった。 
 武器密売事件の捜査のために基地を訪れていた犯罪捜査部(C.I.D.)の捜査官ポール・ブレナー(ジョン・トラボルタ)は将軍から事件を隠蔽できる36時間という条件つきの極秘捜査を依頼される。 
 そしてレイプ犯罪の専門家で元恋人の捜査官サラ(マデリーン・ストウ)とチームを組んでの犯人捜しが開始されるが、捜査が進むに連れてこの事件の裏に隠されたさまざまな謎が浮上してくる。 
 原作はネルソン・デミルのベストセラー小説。 
 そして監督がデビュー作「コン・エアー」でその実力を示したサイモン・ウェスト。 
 主演のジョン・トラボルタ、マデリーン・ストウの他にキャンベル将軍を「L.A.コンフィデンシャル」で見事な権力者ぶりを見せたジェームズ・クロムウェルが重厚に演じている。 
 さらにジェームズ・ウッド、ティモシー・ハットンがエリザベス・キャンベル大尉と密接な関係をもつ軍人を演じて作品に厚みを加えている。 
 ただし、前半のサスペンスの盛り上がりに比べて、後半の事件の解明部分の設定がいささか物足りない。 
 軍隊という特殊社会における権力構造や女性蔑視を背景に、なかなかダイナミックな展開を見せていただけに残念である。 
 もうひとひねりあってもよかったように思うのだが、案外スンナリと終わってしまい、いささかガッカリしてしまった。 
  

 
製作総指揮 ジョナサン・D・クレイン 製作 メイス・ニューフェルド
監督 サイモン・ウエスト 原作 ネルソン・デミル
脚本 クリストファー・バートリーニ/ウィリアム・ゴールドマン
撮影 ピーター・メーンジスJr 音楽 カーター・バーウェル
出演 ジョン・トラボルタ/マデリーン・ストウ/ジェームズ・ウッズ
ジェームズ・クロムウェル/レスリー・ステファンソン/ティモシー・ハットン
 
 
 
 
 
 
 
11/8 日陰のふたり
(96イギリス)
 
 
 
 
 イギリスの異才ウインターボトムの長編第2作目は文豪トーマス・ハーディの小説「日陰者デュード」の映画化に挑んだ作品である。 
 この小説が書かれたのは19世紀末のことで、いとこ同士が未婚のままで同棲し、子供まで作ってしまうという内容は当時の社会通念から大きくはみ出したものだったようで、激しい賛否両論が巻き起こっている。 
 結局この騒動が原因でトーマス・ハーディが筆を折ることになったといういわくつきの問題作である。 
 これをウィンターボトムが見事な文芸作に仕上げている。 
 舞台の中心となる19世紀のクライストミンスターやウェセックス地方、ドーセット地方といった古い街並みを美しいロケーションによって見事に再現している。 
 その暗く重々しい街並みやそこに降る雨や漂う霧の冷たさが主人公であるデュードとスーの運命の過酷さを象徴しているかのようである。 
 道を踏み外してしまったことで、当然のようにふたりは社会から疎外されることになる。 
 土地を転々とし、宿にも泊めてもらえず、仕事もなく、幼子を抱えて雨の街を彷徨う姿は胸を打つ。 
 だが傷つきながらも信念を捨てず、愚直に愛を貫き通そうとする姿は、時には崇高ですらある。 
 貧しく不器用だが真摯に愛を貫くデュードを「シャロウ・グレイブ」のクリストファー・エクルストンが、さらに自由で情熱的な女性、スーを「いつか晴れた日に」や「タイタニック」のケイト・ウィンスレットが魅力的に演じている。 
 前作「バタフライ・キス」でも見せた社会に背を向けて生きざるをえない人間の業のようなものがここにも鮮烈に息づいているのを感じる。 
 印象深い作品である。 
  

  
製作 アンドリュー・イートン 監督 マイケル・ウィンターボトム 原作 トーマス・ハーディ
脚本 ホセイン・アミニ 撮影 エドゥアルド・セラ 音楽 エイドリアン・ジョンストン
出演 クリストファー・エクルストン/ケイト・ウィンスレット
リアム・カニンガム/レイチェル・グリフィス
 
 
 
 
 
 
 
 
11/09 おもちゃ
(99東映)
 
 
 
 
 この映画は深作欣二監督が長年シナリオ作りの教科書としてきた新藤兼人の脚本「おもちゃ」を映画化したものである。 
 このシナリオは30年以上前に書かれたものだそうだが、当時助監督であった深作監督はシナリオ誌に掲載されたこの作品を読み、そのテーマ、構成、キャラクターなど、そのどれをとっても素晴らしく、いつか映画化したいと思い続けていたということである。 
 ここには新藤兼人が師事した溝口健二監督の名作「祇園の姉妹」や「浪花悲歌」で描かれたのと同じような女の世界が描かれている。 
 昭和30年代初頭、売春防止法が施行される直前の祇園を舞台に、そこに生きる女たちのしたたかな生き様を舞妓見習いの少女を中心に据えて描いている。 
 まず映画のタイトルバックに幼い少女の歌う童謡「ちょうちょ」が流れる。 
 そしてその歌に象徴されるような芸妓の世界を主人公の舞妓見習いの生活を追っていくことで見せていく。 
 祇園の伝統的なしきたりや風俗が格調高くスケッチされていくにしたがって祇園という特殊な社会の内実が少しずつ見えてくる。 
 そこは女たちの芸や性が金で売り買いされるという世界ではあるが、女たちには女たちなりの犯すべからざる世界が厳然としてあり、けっして金だけで動かされるのではないといった毅然とした態度が見て取れる。 
 その特殊社会なりの動かざる論理といったものが存在するのだということがよく解る。 
 そんな社会に家庭の貧しさゆえに足を踏み入れざるをえなかった少女を新人の宮本真希がけなげに演じる。 
 そしてそんな境遇の彼女をけっして被害者として描くのではなく、与えられた人生を自ら積極的に選び取って生きていこうとする逞しい女として描いていくのである。 
 それは自らの身体を武器に戦場を駈けていく兵士の姿のようにも見えてくる。 
 彼女が住み込む芸者置屋のおかみや芸妓たちもまさにそんな戦士の姿なのである。 
 そしてそれぞれが女の弱さや愚かさやまた逆に強さや明るさももった多面的な人間であるということが様々なエピソードのなかから浮かび上がってくる。 
 ある者は男に騙され、またある者は男に踏みつけにされ、またある者は男を騙しといった賑やかな人間模様が重ねられながら彼女たちが精いっぱい本音で生きていく様子が活写されていく。 
 そんな芸妓たちに見守られながら、さなぎが蝶に脱皮するようにして少女が一人前の舞妓に生まれ変わっていく。 
 そこには曰く言い難い悲しみとともになんとも言えない清々しさを同時に感じることが出来るのである。 
  

 
監督 深作欣二 脚本 新藤兼人 撮影 木村大作 美術 西岡善信
出演 宮本真希/富司純子/南果歩/喜多嶋舞/魏涼子/野川由美子
加藤武/津川雅彦/清水紘治/六平直政/三谷昇/笹野高史
 
 
 
 
 
 
 
11/10 ブギー・ナイツ
(97アメリカ)
 
 
 
 
製作総指揮 ローレンス・ゴードン 監督・脚本 ポール・トーマス・アンダースン
撮影 ロバート・エルスウィット 音楽 マイケル・ペン 美術 ボブ・ジンビッキ
出演 マーク・ワルバーグ/ジュリアン・ムーア/バート・レイノルズ
ウィリアム・H・メーシー/ジョン・C・ライリー/フィリップ・シーモア・ホフマン
 
 
 
 
 
 
 
11/12 ラブ・ジョーンズ
(96アメリカ)
 
 
 
 
監督・脚本 セオドア・ウィッチャー 撮影 アーネスト・ホルズマン
音楽 ダリル・ジョーンズ 編集 メイシー・ホイ
出演 ロレンツ・テイト/ニア・ロング/イサイア・ワシントン
リサ・ニコル・カールソン/ビル・ベラミー
 
 
 
 
 
 
 
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