1999年4月 NO.2
 
 
 
 
4/14 旅愁
(50アメリカ)
 
  
 
 甘く切なく情感たっぷりに描かれたオーソドックスなハリウッド流メロドラマである。 
 ジョセフ・コットンとジョーン・フォンテーンという美男美女が美しいナポリに降り立つと、こうしたラブ・ロマンスが生まれるのも不思議ではないと思わせられる。 
 そんな日常を離れた大人の夢物語にこうやってひととき酔うのも悪くはない。 
 レストランに流れる主題歌の甘いメロディーが心に残る。 
  

 
製作 ハル・B・ウォリス 監督 ウィリアム・ディターレ 原作 フリッツ・ロッター
脚本 ロバート・ソーレン 撮影 チャールズ・ラング 音楽 ビクター・ヤング
出演 ジョゼフ・コットン/ジョーン・フォンテーン/ジェシカ・タンディ
 
 
 
 
 
 
 
4/18 フィアレス
(93アメリカ)
 
  
 
 旅客機の墜落事故で恐怖の体験をしたことで生還後死に対する恐怖がいっさいなくなったという男の物語である。 
 墜落のパニックのなかで彼は神の光というか啓示といったふうなものに感応するのだが、それ以来彼は神がかったような人間に変身する。 
 そして同じ恐怖を味わい、立ち直れないでいる被害者たちと強い絆で結ばれることで事故の後遺症を克服しようとする姿が描かれるのだが、どうもよく理解できない部分が多い。 
 結局この映画はいったい何だったのかといったはぐらかされたような印象ばかりが残ってしまった。 
 これまで観る機会を逃していたピーター・ウィアー監督作品ということで少なからず期待するものがあったのだが、残念ながら期待はずれに終わってしまった。 
 「ピクニック at ハンギングロック」でも感じたのと同様の戸惑いがあった。 
 ピーター・ウィアーの映画ではこういった超常現象を扱った種類のものはどうも苦手で、私の理解の枠を超えている。 
  
 
製作 ポーラ・ワインスタイン/マーク・ローゼンバーグ
 監督 ピーター・ウィアー 原作・脚本 ラファエル・イグレシアス
撮影 アレン・ダビュー 音楽 モーリス・ジャール
出演 ジェフ・ブリッジス/イザベラ・ロッセリーニ/ロージー・ペレス
 トム・ハルス/ジョン・タートゥーロ
 
 
 
 
 
 
 
4/18 ブルース・ブラザース2000
(98アメリカ)
 
  
 
 前作からなんと18年、ようやくファン待望の第2作目が封切られた。 
 前回同様、今回も大物ミュージシャンを大勢登場させて歌い踊る楽しい作りだが、ドラマ部分の笑いにいまひとつパワーが感じられない。 
 18年という時間はやはりちょっと長すぎたようで、ジョン・ランディスの演出もいささか精彩の欠けたものになってしまっている。 
 ほとんどが前作をなぞっただけといった印象である。 
 ただしこうした不満も歌って踊る楽しさが十分すぎるほどカバーしており、お釣りがくるほどである。 
 とくに教会のダンスシーンと、ラストの超豪華メンバー(エリック・クラプトン、B・B・キング、スティーヴ・ウィンウッド、ビリー・プレストン、ドクター・ジョン、グローバー・ワシントンJr、ジャック・デイジョネット、ウィルソン・ピケット、他)によるセッションは圧巻である。 
 もうこれだけでこの映画を観る価値は十分すぎるほどなのである。 


  
製作・監督・脚本 ジョン・ランディス 製作・脚本 ダン・エイクロイド
撮影 デビッド・ヘリントン 音楽 ポール・シャッファー
出演 ダン・エイクロイド/ジョン・グッドマン/ジョー・モートン/J・エヴァン・ボニファント
アレサ・フランクリン/ジェームズ・ブラウン/B・B・キング/エリカ・バドゥ
 
  
 
 
 
 
 
4/19 ランド・アンド・フリーダム(大地と自由)
(95イギリス/ドイツ)
 
  
 
 ケン・ローチ監督の胸を打つ傑作である。 
 ファシズムの嵐が吹き荒れる1930年代のヨーロッパ、スペインではフランコ将軍による反乱が勃発した。 
 それに対して民主勢力は共和国軍を組織して戦いを挑む。いわゆるスペイン内戦である。 
 この戦いで民主勢力側はヨーロッパ各国に義勇兵の参加を呼びかけた。 
 そして多くの理想に燃える若者たちがこの呼びかけに応じて戦いに加わっていった。 
 この映画はそんな若者のひとりであるリバプール出身のデビッドの目を通してこの内戦を描いており、カメラは一貫して従軍カメラを思わせるような冷徹で客観的な視点に立って内戦を映し出している。 
 戦いとは無縁だった純朴な青年、デビッドが次第に一人前の戦士として成長していく姿と絡めて民主勢力側の内部抗争が次第に表面化してくる様子が同時に描かれていく。 
 複雑な政治的背景が徐々に前線の義勇兵たちの上に影を落としていく様は政治の非情さを表して悲痛である。 
 だがここには歴史に翻弄されながらも自らの理想と正義に殉じようとした真摯な青春が息づいており、それに対するケン・ローチの限りない共感と哀悼の情が強く画面から伝わってくる。 
 見ごたえのある歴史ドラマである。 
  

 
製作:レベッカ・オブライエン 監督 ケン・ローチ 脚本:ジム・アレン
撮影 バリー・エクロイド 音楽 ジョージ・フェントン
出演 イアン・ハート/ロサナ・パストール/イシャール・ボジャイン
トム・ギルロイ/マルク・マルティネス/フレデリック・ピエロ
スーザン・マドック/アンジェラ・クラーク
  
 
 
 
 
 
 
4/20 泣きぼくろ
(91日本)
 
  
 
 
 山崎努、木村一八、大滝秀治といった不思議な取り合わせの三人の男たちが「泣きぼくろ」の女を探して東京から名古屋まで旅をするというロード・ムービーである。 
 どことなく胡散臭く得体の知れない男たちの自由で気まぐれな旅にいささか胸踊らせたが、それほどのこともなく終わってしまった。 
 工藤栄一監督が肩の力を抜いてB級ムードたっぷりな怪作を見せてくれるのではと微かな期待をしていたが、どうもかつての切れ味は見られない。 
 劇中流れる故松田優作が唄うブルースにそうした匂いが若干感じられたというだけであった。 
  

 
製作 枝見太朗 監督・脚本 工藤栄一 原作 安部譲二
脚本 松本功/田部俊行 撮影 藤沢順一 音楽 梵邑紀見男
出演 山崎努/木村一八/大滝秀治/石田えり/井川比佐志/南美江
 
 
 
 
 
 
 
4/20 鉄と鉛
(98日本)
 
  
 
 日本映画で探偵ものといえばどうしても現実的な事件を扱った生活臭のするものが多く、ハードボイルドな味のものはできにくいのが常なのだが、この「鉄と鉛」はなかなかよくできた味わいのある探偵もの映画である。 
 監督、脚本は漫画「ビーバップ・ハイスクール」の作者であるきうちかずひろである。 
 絵筆をカメラに持ち替えて映画を撮るのは石井隆の先例があるが、その後に続くものといえよう。 
 漫画の世界で培った物語作りのうまさが遺憾なく発揮されており、荒唐無稽になりがちな題材をうまく料理している。 
 やくざの組織から死を宣告され、殺されるまでに23時間の猶予しかない刑事崩れの探偵が残された時間のなかでひとりの男を探し出そうとする姿を追いかける。 
 その捜索が身代金誘拐事件へと繋がり、彼が身を挺して事件を解決するまでが激しい暴力のなかで描かれて見ごたえがある。 
 主人公の探偵を渡瀬恒彦が好演している。さらに彼を始終監視し続けるヤクザを成瀬正孝が演じていい味を出している。 
 ワル役専門で、強面だけの印象が強い成瀬が最初はこれまでの映画と同じパターンを繰り返しているだけのように見えていたが、次第に渡瀬の行動に共感を抱き始める中盤あたりからはなかなか存在感のあるところを見せて強い印象を残す。 
 主人公につきまとうこうした役柄はこの手の物語にはつきもので、こうした役が生きているかどうかが作品の成否の大きな分かれ目になってくる。 
 ここではそれが見事に成功しているわけで、成瀬の特異なキャラクターとそれを生かしたきうちかずひろの演出の確かさがうまく合ったということであろう。 
  

 
監督・脚本 きうちかずひろ 撮影 仙元誠三 音楽 Fuji-Yama
出演 渡瀬恒彦/成瀬正孝/岸本祐二
草薙仁/竹中直人/平泉成
 
  
 
 
 
 
 
4/23 ポストマン
(アメリカ)
 
  
 
 「ウォーター・ワールド」で大こけしたはずなのに、また同じような設定の映画を作るとはケビン・コスナーも懲りないというか、諦めが悪いというか、どうもそのへんの心理がよくわからない。 
 それでも映画の出来が前回よりもよければ捲土重来を果たしたということでめでたしということになるのだろうが、とてもそうは思えない。 
 むしろ「ウォーター・ワールド」のほうが出来がいいくらいだ。 
 評判は悪かったが、私は「ウォーター・ワールド」をそんなに出来の悪い映画だとは思っていない。 
 むしろなかなかよくできた娯楽大作だったと思っている。 
 しかし似たような話をまたもう一度となるとちょっと遠慮したくなるというものだ。 
 ましてや主人公が「ポストマン」というのではあまり気持ちが動かない。 
 というわけで今まであまり観る気にはならなかったのだが、ふとした気分の変化でレンタルしてみたというわけである。 
 まあ、観て損をしたとか、時間の無駄だったとは言わないが、その程度の映画だということだ。 
  
 
製作 ジム・ウィルソン/スティーブ・フィッシュ
製作・監督 ケビン・コスナー 原作 デビッド・ブリン
撮影 ステファン・ウィンドン 音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 ケビン・コスナー/ウィル・パットン/ラレンツ・ライト
 オリビア・ウィリアムス/ジェームズ・ラッソ
 
 
 
 
 
 
 
4/24 ラヴソング(甜蜜蜜)
(96香港)
 
  
 
 1986年から1995年までの10年間、香港が中国返還にゆれた時代を背景に、中国本土から香港に渡ってきた若い男女の恋を甘く切なく描いたラブストーリーである。 
 そしてふたりの恋愛を軸にさまざまな人の出会いと別れを描くことで単なるラブストーリーの枠を越えた厚みのある物語になっている。 
 個性的な脇役たちの人生模様を印象的なエピソードでていねいに描き、さらに舞台となる香港とニューヨークの喧噪と活気を軽快にモンタージュしていくことで映画に深い奥行きとリアリティを生み出している。 
 さらに香港とニューヨークという多国籍の人間が集まる都会の孤独や異文化の問題もさりげなく描かれる。 
 物語の体裁はメロ・ドラマの形をとっているが、若々しい感覚の映像を駆使して現代的な装いを施すことで見ごたえのあるラブストーリーを作り上げている。 
 特にテレサ・テンの歌を物語のキー・ワードとして使う巧みさは印象に残る。(タイトルは彼女の曲名からとっている) 
 これは若いふたりの10年間にわたる成長物語であり、人と人の出会いの不思議さを同時に描いた映画でもある。  
 ラストの意外なオチがそのことを明確に語っている。 
 そしてそれが爽やかで心地よいカタルシスを与えてくれる。 
 最近では出色のラブスト−リーである。 
  
 (ウォン・カーウァイ作品のカメラマンとして名高いクリストファー・ドイルが英会話学校の教師役で出演しているのがご愛嬌である。) 
  

 
製作・監督 ピーター・チャン 脚本アイヴ・ホー
撮影 ジングル・マー 音楽 チウ・ツァンヘイ
出演 レオン・ライ/マギー・チャン/エリック・ツァン/クリストファー・ドイル
 
 
 
 
 
 
 
4/26 世界の涯てに(天涯海角)
(96香港)
 
  
 
 先日観た「ラヴソング」と同様の香港映画のラブストーリーであるが、残念ながらこちらはあまり楽しめる出来ではなかった。 
 主役を演じる金城武とケリー・チャンは「ラヴソング」のレオン・ライ、マギー・チャンと比べてもけっして見劣りするような俳優ではないが、映画の出来が違うと印象までもが変わってしまう。 
 レオン・ライとマギー・チャンの残像は今でもはっきりと残っているのに、この映画の金城武とケリー・チャンはほとんど何も残っていない。 
 似たようなものを続けて観ただけによけいその違いが際だってしまった。 
  

 
監督・脚本 リー・チーガイ 撮影 ビル・ウォン
音楽 マーク・ライ 美術 ジェームズ・チョン
出演 金城武/ケリー・チャン/マイケル・ウォン/チャン・シュウチョン
 
 
 
 
 
 
 
4/26 エネミー・オブ・アメリカ
(99アメリカ)
 
 
  
  監督は「トップガン」「クリムゾン・タイド」のトニー・スコット、音楽は「アルマゲドン」のトレバー・ラビンと「ザ・ロック」「クリムゾンタイド」のハリー・グレッグソン=ウィリアムズというドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー映画の常連たちである。 
 さらにはドン・シンプソンが製作に関わった最後の作品でもある。 
  
 NSA(国家安全保障局)はどんな人間がどこにいようとその行動の総てを追跡してしまうという超ハイテクの監視システムを保有している。 
 そのシステムによって国家の安全を図ろうとしている。 
 そしてその力をより強固なものにするためにある法案を成立させようとするのだが、ひとりの議員がその前に立ち塞がって異を唱えている。 
 そこでどうしてもこの法案を通したいNSAの行政官レイノルズ(ジョン・ボイト)は邪魔な彼を事故に見せかけて秘かに暗殺してしまう。 
 完全犯罪と思われていたこの事件の一部始終が偶然そこに備えられていたカメラに写っていたことから弁護士ディーン(ウィル・スミス)の人生が狂い始めることになる。 
 彼自身が知らないうちに証拠のビデオが秘かに彼の手に渡っていたのである。 
 これをつきとめたNSAは衛星監視カメラ、盗聴器、発信器、公衆電話、さらには店舗に備え付けられている盗難防止用ビデオカメラに侵入するなどあらゆるテクノロジーを使って彼を追跡し、抹殺しようとする。 
 さらに彼を孤立させるためにあらゆる手段を駆使して彼の社会的な地位を剥奪し、犯罪者に仕立て上げてしまうのだ。 
 理由もわからず命を狙われるディーンの必死の逃亡がこうして始まる。 
 果たしてディーンは逃れることができるのか、またどういったふうな結末が待っているのかといったサスペンスが大きく盛り上がっていく。 
 そしてそれがドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー映画おなじみの迫力ある映像でたたみかけるように描かれる。 
  
 この映画を観ているとこうしたシステムがもうすでにアメリカあたりでは使われているのではないかという気分になってくる。 
 あるいはあまり遠くない将来、こうしたことが現実の問題として浮かび上がってくるのではないかというふうにも考えてしまう。 
 その点に関してはかなりリアルに作られており見ごたえがある。 
 ただ結末のつけ方がいまひとつ釈然としない。 
 前半の謎や緊迫感が後半になって突然失速してしまったという印象なのである。 
 ただし全体としてはなかなかよくできた娯楽作品であり、じゅうぶん楽しめる内容ではある。 


 
製作 ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー 監督 トニー・スコット
脚本 デビッド・マルコーニ/アーロン・ソーキン 撮影 ダン・ミンデル
音楽 トレバー・ラビン/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演 ウィル・スミス/ジーン・ハックマン/ジョン・ボイト
レジーナ・キング/ローレン・ディーン/ガブリエル・バーン
 
 
 
 
 
 
 
4/27 チャイニーズ・ボックス
(97イギリス)
 
 
 
 96年の大晦日から97年6月の返還までの揺れる香港の姿をイギリス人ジャーナリスト(ジェレミー・アイアンズ)の目を通して描いていく。 
 白血病で余命幾ばくもない彼の香港への愛憎がふたりの女(コン・リーとマギー・チャン)との関係のなかで語られていく。 
 ここに見えてくるのは香港という都市の持つ活力であり、一筋縄では括れない香港の奥深さである。 
 世界中のどの都市とも違った独特の個性をもった香港という都市の不思議さ、謎めいた猥雑さはあらゆる国の人間を惹きつけてやまない魅力を発散している。 
 主人公のジャーナリストもそんな魅力に絡め取られたひとりであり、ふたりの女との関係もそうした揺れる心の動きの象徴のようにも見える。 
 そしてこうした香港のエネルギーはおそらく返還後も衰えることなく続いていくに違いないというメッセージがここにはこめられているように思うのだ。 
  

 
 製作 リディア・ディーン・ピルチャー/ジャン・ルイ・ピエル
監督 ウェイン・ワン 脚本 ジャン=クロード・カリエル/ラリー・グロス
撮影 ヴィルコ・フィラチ 美術 クリス・ウォン 音楽 グレアム・レヴェル
出演 ジェレミー・アイアンズ/コン・リー/マギー・チャン/ルーベン・ブラデス
 
 
 
 
 
 
 
4/28 マイ・ビューティフル・ランドレッド
(85イギリス)
 
  
  
 ダニエル・デイ・ルイスの若々しい姿が印象に残っただけの映画である。 
 後は残念ながら半分近く眠ってしまった。ストーリーもほとんど覚えていない。 
 どうも体調と映画の選択が合っていなかったようである。たまにはこういうこともあるだろう。 
  

 
監督 スティーブン・フリアーズ 脚本 ハンク・クレイシ 撮影 オリバー・ステイプルトン
出演 ダニエル・デイ・ルイス/ゴードン・ウォーネック/サイード・ジャフリー
 
 
 
 
 
 
 
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