2000年1月 NO.3
  
 
 DANCE WITH ME
1/18  ダンス・ウィズ・ミー

●監督:ランダ・ヘインズ ●脚本:ダリル・マシューズ 
●音楽:マイケル・コンバーティノ 
●出演:ヴァネッサ・ウィリアムズ/チャヤン/クリス・クリストファーソン 
 ジェーン・クラコウスキ/リック・バレンスエラ 
 
1998年アメリカ映画

 情熱的なラテン音楽にのって踊る華麗なダンスが見ごたえのあるダンス映画。 
 そのダンスの軽快なリズムに合わせてヴァネッサ・ウィリアムズ演じるダンサーとラテン・アメリカのスーパースター、チャヤン演じるキューバ青年の恋がくりひろげられる。 
 その恋を縦軸に、チャヤンとダンス教室のオーナー、クリス・クリストファーソンとの実の親子かどうかをめぐる確執を横軸にしながら、ラストのダンス・コンテストへと物語は進んでいく。 
 母を失い単身でキューバからテキサスまでやってきた孤独な青年と故郷をもたないシングル・マザーのダンサーが互いの心の寂しさを埋めるように惹かれ合っていくという展開は定石どおりのものではあるが、口数の少なかった青年チャヤンが彼女をダンスに誘ってサルサを踊ることで次第に本来の自分に戻っていくあたりの描き方が情味があって、なかなかいい。 
 さらに適当に泣かせどころも用意してあって、まずはソツのないドラマといえるだろう。 
 だがとにかくこの映画ではあくまでもダンスが主役ということになるわけで、その点に関しては申し分がない。 
 サルサのノリのいいリズムに観ている方も思わず踊り出したくなるほどだ。 
 情熱的なダンスにしばし時間を忘れて酔いしれてしまうこと請け合いである。

 
 
 
NEVER BEEN KISSED
1/19  25年目のキス

●監督:ラジャ・ゴズネル ●脚本:アビー・コーン/マーク・シルバーステイン 
●製作総指揮:ドリュー・バリモア ●共同製作:ジェフリー・ダウナー 
●製作:サンディ・アイザック/ナンシー・ジューボネン 
●撮影:アレックス・ネポムニアスキー ●音楽:デイビッド・ニューマン 
●出演:ドリュー・バリモア/デイビッド・アークェット/ミシェル・バルタン 
 モリー・シャノン/ジョン・C・ライリー/ゲーリー・マーシャル/ショーン・ホアレン 
1999年アメリカ映画

 「ウエディング・シンガー」「エバー・アフター」と、このところ活躍の目立つドリュー・バリモアが超真面目な女性に扮して展開するロマンティック・コメディ。 
 高校時代に<ジョジー・グロッシー(ダサいジョジー)>というあだ名をつけられていたドリュー・バリモアのダサさ加減が見どころのひとつ。 
 現代の高校生たちの生態をルポするために、もういちど高校生に化けて高校生活を送ることになった新聞社のコピー・エディター、ジョジー(ドリュー・バリモア)はこの取材をきっかけに哀れないじめられっ子だった高校時代を思い出す。 
 そしてまた同じような惨めな高校生活が繰り返されるのかと思われたが、弟ロブの機転によっていつのまにか学校の人気者になってしまう。 
 こうしてほんとうの高校生活では味わえなかったジョジーのやりなおしの青春が始まるのである。 
 ドリュー・バリモアがコミカルな演技で大活躍するが、展開がいまひとつ説得力に欠けたところがあるせいか、せっかくの着想の面白さが十分に生かし切れていない。 
 盛り上がりそうで盛り上がりきらないといううらみが残る。 
 現代の高校生気質がおもしろおかしく描かれてるあたりはけっこう楽しめるものの、いささか不完全燃焼といったところであった。

 
 
 
 PONETTE
 1/20  ポネット

●監督・脚本:ジャック・ドワイヨン ●製作:アラン・サルド 
●撮影:カロリーヌ・シャンブティエ ●編集:ジャクリーヌ・ルコント 
●音楽:フィリップ・サンド ●美術:アンリ・ベルトン 
●出演:ヴィクトワール・テイヴィンソル/グザビエ・ヴォーヴォウ/デルフィーヌ・シルツ 
 マチアス=ビューロー・カトン/レオポルティーヌ・セール/マリー・トランティニャン 
  
1996年フランス作品

 映画に感動するというよりも、主役の4才の少女の演技にただただ驚き、感動した。 
 果たしてどういう方法を用いれば、このような演技が引き出せるのだろう。 
 映画を観ながらそればかりが頭に浮かんでくる。それほど少女の演技は自然で素晴らしい。 
 そんな彼女の可愛らしい演技を観るだけでも、この映画を観る価値があるというものだ。 
 結局ここでは少女の演技こそがメインであって、ドラマはあくまでも彼女の演技を引き出させるための道具でしかない、そう思ってしまうほどである。 
 映画は時にこうした奇跡を引き起こすことがある。 
 それは映画のなかの奇跡以上に確かなことなのだ。

 
 
 
  BENT
1/20  ベント〜落ちた饗宴

●監督:ショーン・マサイアス ●脚本:マーティン・シャーマン 
●製作総指揮:サラ・ラドクリフ/ヒサミ・クロイワ ●製作:マイケル・ソリンジャ 
●撮影:ヨルゴス・アルバニティス ●編集:イザベル・ロレント 
●音楽:フィリップ・グラス ●美術:スティーブン・ブリム/ソン・ルイス 
●出演:クライブ・オーウェン/ロテール・ブリュトー/ミック・ジャガー 
 ブライアン・ウェバー/イアン・マッケラン/ニコライ・ワルドー 
  
1997年イギリス作品

 ナチス・ドイツによるホロコーストの対象はユダヤ人だけにとどまらず、同性愛者もそのなかに含まれていたということをこの映画で初めて知った。 
 さらにジプシーも同様にその対象であったということも。 
 結局、彼らすべてが社会の害虫と見なされて粛清の対象となって虐殺されたということだ。 
 なかでも同性愛者がいちばん下等な人間として扱われ、囚人服にピンク・トライアングルと呼ばれるマークをつけて区別された。 
 ちなみにユダヤ人は黄色、ジプシーは茶色、政治犯は赤のマークをつけられた。 
 こうした歴史的事実を掘り起こして書かれた戯曲「ベント」を作者のマーティン・シャーマン自ら脚色して映画化したのが本作である。 
 監督はこちらも舞台演出家であるショーン・マサイアス。 
 冒頭のゲイ・クラブのパーティー場面で、舞台的な演出が施されているのはこのためであろう、大勢の人間が退廃的な饗宴を繰り広げる映像に舞台演出家らしい冴えを見せている。 
 女装したクラブのオーナー、グレタが宙づりのブランコに乗って現れて、アンニュイに歌を唄う場面が印象的だ。 
 演ずるのがミック・ジャガー。彼の女装が見られるだけでも値打ちがあるというものだ。 
 だが、この映画がいいのもここまでで、以後は正直言って単調で退屈だ。 
 収容所での過酷な生活の描き方もことさら言いたてるほどのものではなく、こうした映画のなかではごく当たり前のものでしかない。 
 絶望的な状況というものがそれほど強く迫ってこないので、主役ふたりの愛のやりとりにもあまり感情移入することができない。 
 結局、歴史的事実としてこうしたことがあったのだという受け止め方をしただけで終わってしまったのである。

 
 
 
 SUMMER SNOW
1/21  女人、四十

●監督:アン・ホイ ●脚本:チャン・マンキョン 
●撮影:リー・ピンビン ●音楽:大友良英 
●出演:ジョセフィーヌ・シャオ/ロイ・チャオ/ロウ・カーイン/ロウ・コーンラン 
  
1995年香港作品

 嫁である自分の立場に理解が深かった姑が突然死し、それと同時に傲慢で尊大な態度で自分を下女のように扱っていた舅がアルツハイマー病に罹るという災難に見舞われた主婦が、持ち前の明るさとバイタリティーでその困難に立ち向かっていく姿を描いた香港映画。 
 暗く惨めになりそうなこの話を香港映画らしい笑いにくるんだ演出で描いていく。 
 外に責任ある仕事をもちながら、家庭の仕事も同時にこなしていくという主人公のエネルギッシュさは、香港ではけっして珍しいことではなさそうだ。 
 それは大変な日常をがむしゃらな態度でこなしていくのではなく、あくまでも自然体でこなしていく彼女の姿から自然と浮かんできた感想だ。 
 人生何とかなるもんだといった大らかさ、こうした前向きの人生観が香港の人々にはけっして無理なく身についているように思われる。 
 それにひきかえ男たちの何と影の薄いことか。 
 国は違っても、最終的にはやはり女がいちばん頼りになるということのようだ。

 
 
 
 
1/22  妻は告白する

●監督:増村保造 ●原作:円山雅也 
●脚本:井手雅人 ●撮影:小林節雄 
●出演:若尾文子/川口浩/小沢栄太郎/馬淵晴子 
 根上淳/高松英郎 
  
1961年大映東京作品

 増村保造は終生「女性」を描き続けた監督である。 
 登場する女性は常に自分の欲望に忠実で、その欲望の実現のためにはどんなことも厭わないという強烈な個性の持ち主である。 
 そしてその極端な行動の底に流れるどろどろとした情念を抽出することで、人間存在の根源に迫ろうとする。 
 この作品はそうした増村監督の代表作であり、彼の作家精神が明確な形で表現されている。 
  
 大学の助教授とその妻、そして助教授の教え子で妻の愛人である男の3人で組んだ登山パーティが冬山で遭難する。 
 互いをザイルでつないだまま岩壁に宙吊りになったなか、妻が助教授とつながれたザイルを切り、助教授が転落死してしまう。 
 こうしてふたりはかろうじて助かるが、妻のこの行為が果たして正当なものであったどうかが裁判によって争われることになる。 
 そのなかで3人の愛憎をこめた複雑な関係が浮かび上がってくる。 
 恋に狂ったがゆえに愚かしいまでにエゴイスティックな行動に奔る女性が見事に活写されており、彼女を演じる若尾文子の一途な演技が強く印象に残る。 
 「BS日本映画100選」シリーズでの放映。

 
 
 
 
 
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