2010年2月14日
 
 
ウィル・ペニー
WILL PENNY
 
 
1967年アメリカ作品。  上映時間109分。 監督/脚本: トム・グライス  製作: フレッド・エンジェル/ ウォルター・セルツァー  撮影: ルシアン・バラード 音楽: デヴィッド・ラクシン   出演: チャールトン・ヘストン/ ジョーン・ハケット/ ドナルド・プレザンス/ ブルース・ダーン/ ベン・ジョンソン/ スリム・ピケンズ/ アンソニー・ザーブ/ クリフトン・ジェームズ/ クエンティン・ディーン/ ルーク・アスキュー/ マット・クラーク
 
 以前から観たいと思っていた、チャールトン・ヘストン主演の西部劇「ウィル・ペニー」が昨日NHK BS2で放送されたので、観た。 
1967年に作られた作品である。 
この頃のハリウッドでは、もうあまり西部劇は作られなくなっており、イタリアのマカロニ・ウエスタンにその座を奪われたという時代である。 
チャールトン・ヘストンが親を早くに失い、子供の頃から牧場の仕事をし続ける腕のいいカーボーイを演じている。 
家庭の味や親の愛情を知らず、自分の腕だけで生きてきた彼も、すでに50近くになっている。 
そんな彼が喧嘩がもとで命を狙われ、重傷を負ったとき、旅の途中で知り合った母子に助けられる。 
そして傷の癒えた彼が、母子とともに人里離れた小屋で、ひと冬を過ごすことになる、というストーリーである。 
何となく「シェーン」や「レッド・ムーン」を連想させるようなところもあるが、それよりもむしろ「シェーン」を下敷きにした映画「遥かなる山の呼び声」のほうにより近いものを感じる。 
長く厳しい冬の生活のなかで、チャールトン・ヘストンが母子に献身的に尽くす姿、そして戸惑いながらも彼が初めて味わう家庭の味、そうした様子を見ているうちに、しだいに「遥かなる山の呼び声」とダブるものを感じたのである。 
チャールトン・ヘストンが喧嘩に強いカーボーイではなく、ただ牛追いや牧場の仕事に秀でただけという等身大のカーボーイを演じているのも、そうした心の交流をリアルに感じさせるところである。 
そろそろ老いを意識し始めた彼が、これまでの厳しい生活とは違った母子との生活の中で癒しを感じ始める。 
だが、そうした生活がいつまでも続くものでないことも、彼はうすうす自覚している。 
チャールトン・ヘストンの揺れ動く心は、まるで「無法松の一生」の富島松五郎のようにも思えてきて泣かせる。 
ドナルド・プレザンスが演じる性格異常者とも思えるような悪役もこの映画の見どころのひとつ。 
彼の存在がこの映画の奥行きをさらに深いものにしている。 
西部劇衰退の時代に現れた西部劇の傑作として、これは外せない映画である。

 
 
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