2008年7月6日
 
 
クワイエットルームにようこそ
 
 
 
2007年日本作品。  上映時間118分。 監督/原作/脚本: 松尾スズキ  チーフプロデューサー: 小川真司  プロデューサー: 今村景子/ 菅原直太  エグゼクティブプロデューサー: 豊島雅郎/山田晴規/ 長坂まき子/ 北川直樹/ 森元晴一  撮影: 岡林昭宏  美術: 小泉博康  編集: 上野聡一  音楽: 門司肇/ 森敬  音楽プロデューサー: 安井輝  主題歌: LOVES. 『Naked Me』  出演: 内田有紀/ 宮藤官九郎/ 蒼井優/ りょう/ 中村優子/ 高橋真唯/ 馬渕英俚可/ 筒井真理子/ 宍戸美和公/ 平岩紙/ 塚本晋也/ 平田満/ 徳井優/ 峯村リエ/ 武沢宏/ 箕輪はるか(ハリセンボン)/近藤春菜(ハリセンボン)/庵野秀明/ 河井克夫/ 俵万智/ しりあがり寿/ 川勝正幸/ しまおまほ/ 妻夫木聡/ 大竹しのぶ
 
 劇団「大人計画」主宰の松尾スズキ監督の長編第二作目の作品。彼の同名小説が原作である。 
 クスリの大量摂取が原因で、病院に運び込まれた主人公・明日香(内田有紀)。 
 そして自殺未遂の疑いがあるという判断から、精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられる。 
 そこで彼女が体験する14日間の出来事を描いた映画である。 
 「クワイエットルーム」というのは閉鎖病棟内の保護室の別の呼び名である。 
  
 前作「恋の門」が、かなりぶっ飛んだ映画だったので、これもその類の映画なのかと思っていたが、予想と違って割とオーソドックスな手法で描かれた映画だった。 
 もちろんあちこちに松尾スズキ流の皮肉やデフォルメが施されているわけだが、それはかなり抑制のきいたものなので、映画全体の流れの中にうまく溶け込んだ表現になっている。 
 コミカルとシリアスのブレンド加減がほどよくて、かなり深刻な話なのに、重くなりすぎず、また軽さに流されることもなく、違和感は感じない。 
 また久しぶりの映画出演となる内田有紀がとてもいい。 
 仕事の行き詰まりや同棲相手との確執から、アルコールとクスリに溺れ、狂気と正気の狭間を行き来する主人公を、肩肘張らずに自然に演じていて好感がもてる。 
 彼女が演じる明日香の姿をみていると、ちょっとした歯車の違いから、人は誰でも簡単に正気の世界から滑り落ちてしまうこともあるのだと、素直に納得してしまう。 
 また彼女の同棲相手を演じた宮藤官九郎も彼女に負けずにいい味を出している。 
 お笑い番組の放送作家で、優柔不断を絵に描いたようないいかげんな男を、いかにもそれらしく演じていて目が離せない。 
 こんな女々しく頼りにならない男はダメだと否定する気持ちの一方で、次第にその愛嬌に魅了されていくから不思議である。 
 こういった複雑でユニークな人物造詣は、おそらく松尾スズキ監督の得意とするところなのであろう。 
 松尾スズキという人物については、名前はよく見聞きしていたものの、その人物像についてはほとんど何も知らなかったが、「恋の門」に続いてこの映画を見たことで、かなり才能のある人物だということがよく分かった。 
 今後は彼から目が離せなくなった。 
<2008/07/11>

 
 
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