2005年1月17日
 
 
お父さんのバックドロップ
 
 
 
2004年日本作品。 上映時間98分。監督: 李闘士男  プロデューサー: 原田泉  エグゼクティブプロデューサー: 李鳳宇  原作: 中島らも 脚本: 鄭義信  撮影: 金谷宏二  美術: 佐々木記貴  編集: 宮島竜治  音楽: coba coba  音響監督: 染谷和孝  照明: 嶋竜  録音: 甲斐田哲也  出演: 宇梶剛士/ 神木隆之介/ 南方英二/ 南果歩/ 田中優貴/ 生瀬勝久/ 奥貫薫/ AKIRA/ エヴェルトン・テイシェイラ/ コング桑田/ 荒谷清水/ 中島らも/ 笑福亭鶴瓶/ 筒井真理子/ 磯部清次
 
 弱小のプロレス団体に所属する三流のプロレスラー、下田牛之助(上田馬之助のもじり?)とその息子、一雄の微妙な親子関係を描いた作品。 
 単純馬鹿で一本気な牛之助と、今はなき母親ゆずりの繊細で気配りのきいた息子、一雄という対照的な親子に生じる行き違いと、それを何とか修復したいと奮闘する牛之助の懸命な姿を軸に物語は展開していく。 
 そしてそれをプロレス団体の仲間や、ふたりが住む場末のボロアパートの個性的な住人たちが優しく、かつ乱暴に支える姿をおもしろおかしく描いている。 
 小学生の一雄は東京生まれの東京育ち、その馴染んだ東京から父親の生まれ故郷の大阪に引っ越してきた。 
 しかもそこはバリバリの大阪という下町の一画。 
 上品で優しい一雄とは水と油の町である。 
 しかも父親の牛之助は弱小のプロレス団体を盛り上げようと金髪、クマどりの化粧で悪役レスラーに転身、そんな父親を一雄は恥ずかしく思い、学校でも父親のことは内緒にしている。 
 また年中巡業で忙しい父親はいつも留守がちで、そのために自分の授業参観にも運動会にも出席したことはなく、母親の死に目にも立ち会えなかった。 
 それはすべて父親のプロレスラーという職業のせいで、一雄はそのことを心底嫌っている。 
 理解できない父親の姿、そして馴染めない環境のなかで堅く心を閉ざす一雄、そんな息子の姿に心痛める牛之助がとった解決策はある捨て身の挑戦であった。 
  
 原作は昨年事故で亡くなった中島らもの短編小説。(彼は劇中のワンシーンにも登場。これが最後の姿になった。享年52歳。) 
 監督はテレビのバラエティー番組の演出家で、これが初監督の李闘士男(り・としお)。 
 そして主演は宇梶剛士。 
 身体の大きい彼が本物のプロレスラーに見えて、適役である。
 また稚拙だが熱気を感じさせる描き方は好感が持てる。 
 表現の不器用さと熱意はそのまま牛之助の生き方にも通じるものだ。 
 そのまっすぐさが集約されたラストのファイティング・シーンには涙が流れた。 
 身体を張った捨て身の挑戦、倒されても倒されても立ち上がっていく姿には、世のお父さんたちのがんばる姿がダブって見えた。 
 それはただひたすら家族のために不器用に、そして一心不乱に突き進むお父さんたちの姿でもある。 
 そういう一見格不格好に見えるお父さんの姿の何と神々しくカッコイイことか。 
 何かと風当たりの強いお父さんたちに勇気と希望を与えてくれるハートウォーミングな感動作である。 
<2005/7/5>

 
 
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