丹下左膳といえば大河内伝次郎の当たり役として有名な役柄で、「シェイハ、タンゲ、ナハ、シャゼン」という独特のセリフまわしとともによく知られている。
しかし東映時代劇育ちのわれわれ世代にとってはリアル・タイムで観た大友柳太郎の左膳のほうがむしろ馴染みが深い。
彼が演じる明るく豪快な丹下左膳はもうひとつの当たり役「怪傑黒頭巾」とともに、当時の子供たちを大いに楽しませてくれた。
大友の持ち味である豪放磊落さが左膳のキャラクターにうまくマッチしており、彼の当たり役のひとつになっている。
大友の左膳は1958年から62年にかけてつごう5本が作られており、1作目から4作目までをベテラン、松田定次が監督しており、第5作目にあたる本作だけが加藤監督によるものだ。
ここでは乾雲と坤竜の2本の名刀をめぐる争奪戦が迫力たっぷりに描かれており、血わき肉おどる娯楽時代劇に仕上がっている。
原作 林不忘 脚本 石堂淑郎 撮影 鈴木重平 美術 川島泰三 音楽 鏑木創
出演 大友柳太郎/東千代之介/近衛十四郎/桜町弘子/久保菜穂子
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