監督・脚本: ジャン=ピエール・ジュネ/ マルク・キャロ
製作: クローディー・オサール 脚本: ジル・アドリアン
撮影: ダリウス・コンジ 音楽: アンジェロ・バダラメンティ
出演: ロン・パールマン/ ジュディット・ヴィッテ
ドミニク・ピノン/ ダニエル・エミルフォルク
ノスタルジックな雰囲気を漂わせる近未来の港町、そこで繰り広げられる連続子供誘拐事件を独特の美意識で描いたフランス映画。
この不思議な空間を作り上げたのは「デリカテッセン」で注目を浴びたジャン=ピエール・ジュネと
マルク・キャロというふたりの監督。
ジュネが全体の演出をし、キャロが視覚効果、美術を担当、ふたりのコラボレーションで凝った映像世界を生み出していくというのが彼らのスタイルである。
「デリカテッセン」が核戦争後15年という近未来を舞台に終末感を漂わせていたが、「ロスト・チルドレン」も同様の気分が充満している。
主人公は孤児の少女シュミットで、彼女がサーカスの怪力男ワンの力を借りて子供誘拐を企てる一つ目教団に挑んでいく。
登場する人物のほとんどがクローン人間やシャム双生児、怪力男といったフリークスばかりというのもジュネ&キャロ好みのこだわりだ。
それがシュールな映像と溶け合うことで、悪夢のようなメルヘン世界を形作っている。
SF版「アリスの不思議な世界」とでも呼びたいような世界である。
現代美術の作品から受ける驚きや発見と同様の体験が味わえる映画である。
( 2003/02/07 )
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